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手を繋ぐその先に
夕暮れの学院屋上。
赤く染まる空を背に、フィーネは静かに剣を鞘に納めていた。
「フィーネ先生!」
後ろから駆け寄るのは、一人の少女――まだ幼さの残る新入生だった。
「先生、教えてください! 私、あの剣に触れてみたいんです!」
フィーネは微笑んで、その手を優しく取る。
「そう、これは《契約剣・ルクレシア》。ただの剣じゃない。過去と未来を繋ぐ約束の証」
少女の瞳が輝く。
「私もいつか、あなたみたいに強くなりたい!」
「その想いがあれば、きっと大丈夫」
その瞬間、剣がかすかに光った。
まるで、新たな可能性の息吹が芽吹くように。
***
◆ 未来への歩み
フィーネはそっと呟く。
「これが……私の選んだ未来」
遠く、風が運ぶかすかな声が響いた気がした。
> 「“選ばれし者”よ。
世界はまだ、君を待っている――」




