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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第10章 異界編

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ヴェリムの門、眠る守衛たち

霧境都市ヴェリムは、異界の中でも特に濃密な魔力が渦巻く地に建てられていた。


「……見えてきた」


フィーネが剣の柄に手をかけながら、ぼんやりと浮かび上がる石造りの門を見据える。


門の上部には崩れた紋章――中央に“裂け目”を模したような意匠が刻まれていた。


「この都市、もともと“異界由来”じゃない。こっち側の技術で築かれてるわ」


「ザイデンが、こちらの世界から“持ち込んだ”……?」


サティの言葉に、フィーネは黙ってうなずいた。


> ――ガコン、ゴン……




不気味な音を立て、門の左右に配置された騎士像が動き出す。


「……動いた」


騎士像の内部から現れたのは、銀の鎧に黒い霧を纏った者たち。


彼らはかつて地上で“ザイデンの私兵”として知られていた《カーヴァス騎士団》の残響――今は、《霧化騎士》と呼ばれる異界の守衛だった。


> 『侵入者、認証。契約者反応――高位、危険指定』


『ザイデン様への接触、拒絶――排除開始』




フィーネが構えるより早く、一体の騎士が霧の中から斬撃を放つ。


「来るわよ、サティ!」


「結界展開、《三重防壁》!」


光のバリアが直撃を防ぎ、その隙にフィーネが突撃する。


霧化騎士の剣はただの武器ではなく、“記憶の重さ”が上乗せされる呪いの刃。


「私には……効かないッ!!」


《刻印剣》が霧を裂き、騎士を一体撃破。

だが残りは六体、囲むように動き始める。


「数が多い……でも、あの門を越えなきゃ、ザイデンには会えない!」


「援護する! 霧を《風律魔法》で切り裂くわ!」


サティの風刃が霧の流れを逆転させ、敵の位置を露わにする。


フィーネの一撃一撃が騎士たちを削り、最後の一体を地に伏せさせた。


> ――ゴゴゴゴ……




門がゆっくりと開き始める。


だが同時に、中央広場の石畳が紫に輝き、誰かの気配が現れた。


> 『ようこそ、“契約者”と、その随伴者よ』




その声は、氷のように冷たかった。

姿は見えない。だが、その声の主こそ――


「……ザイデン……!」


> 『歓迎しよう、我が《霧境都市》へ。

だがこの都市の核に触れたとき、お前たちは“自分が何者なのか”を知ることになるだろう』




「私が何者なのか……?」


> 『フィーネ・カステン。その名は契約者として新しいが、魂の記録は古い。

かつて、私と道を分かち、私を“止めた者”の名を――お前は知っているはずだ』




「……まさか、私が……」


サティが不安そうに視線を送る。


(フィーネの中に眠る、“過去の誰か”とは――?)


> 『ようこそ、記憶の牢獄へ。

さぁ、《霧核》まで、あと三つの結界だ。越えられるものなら越えてみろ』

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