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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第10章 異界編

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境界座標、霧境都市へ

ルメリア・ギルド地下――封印室。

契約剣の浮かぶ台座を前に、フィーネは息を整えた。


「座標は確かに記されたわ。転移魔法は私が展開する」


サティが手早く術式を組む。

刻印が描かれた転移陣は、かつて見たものとは異なる紫の霧を帯びていた。


「この座標、正確には“この世界の座標軸の外”にある。つまり、別の空間よ。入ったら戻る術は――私たち次第」


「怖い?」


サティが問うと、フィーネはわずかに笑って答えた。


「怖いけど……それ以上に、行かなきゃいけないって思う。ザイデンを止めるためにも」


「なら、行きましょう。“霧境”へ」


転移陣が輝きを増し、二人の身体が宙に浮かぶ。


> ――ズン……ギュゥウゥン……




空間がねじれ、視界がぐるりと裏返るような感覚。


目を閉じたフィーネが再び目を開けたとき――


そこはもう、“異界”だった。



***


空は薄暗く、地面は紫色の岩肌。

どこまでも続く霧に包まれた荒野。


「……ここが、“霧境”」


サティが口を開いた瞬間、何かが背後を通り過ぎた。


「……気配が、複数……!」


フィーネが剣を構える。

霧の中から現れたのは、瘦せた四足の異形獣――《霧喰獣フォグ・ファング》。


牙の先に魔力を宿し、群れで獲物を囲む性質を持つ、異界固有種。


「囲まれてる……サティ、援護お願い!」


「任せなさい!」


フィーネが突撃し、剣閃を走らせる。

空気が重く、重力が違う。だが契約剣が霧を裂き、霧喰獣の体を切り裂いていく。


サティも展開式の魔導陣を使い、結界と火球で敵を一掃。


「ふぅ……なんとか……」


「異界、やっぱり“重い”わね。魔力の流れも歪んでる」


フィーネが立ち上がり、前方の霧の切れ間を見る。


その先には、遠くに霞んだ都市の影。


「……あれが、霧境都市ヴェリム


異界に築かれた、ザイデンの拠点。

その中心には“霧核”と呼ばれる異界門があり、そこから“侵食”が広がっているという。


「急ごう。あそこに、ザイデンがいる」


そして――

この世界の理が、歪んだ始まりが、すべてあの都市にある。

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