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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第9章 黒霧編

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霧の試練と、封印の真実

「《斬閃・貫穿》!」


フィーネの一撃が、刻印魔獣の装甲を切り裂いた。


霧の中から現れる黒き異形たちは、“獣”というより“形なき影”に近い。


「まるで……恐怖そのものが形になってるみたいね」


サティが魔導符を放ちながら、冷静に観察していた。


「こいつら、“記憶を食ってる”。私の過去の感情が刺激されるの、わかる?」


「私もだ……これ、“試練”って言ってたけど、そういうこと……?」


ふと、頭の中に“声”が響いた。


> 『この世界に侵食を始めたのは、霧でも異界でもない』


『“扉を開けた者”がいたから、始まったのよ』




視線の先――噴水跡の石碑に、再びヴェリシアの幻影が現れる。


その目は、どこか懺悔を語る者のように悲しかった。


> 『私はかつて、異界の“知識”に魅入られた』

『この世界を守るために、それを“使う”と信じた……』




> 『けれど――私は《扉を開ける鍵》に過ぎなかった』




「……開けたのは……あなたじゃない?」


> 『ええ。私ではない。“あの者”よ』





***


その瞬間、フィーネの頭に電流のような映像が流れ込んだ。


白衣を纏う一人の男。

鋭い目と冷たい笑みを浮かべ、異界の魔核を手にしていた。


その背後には、黒い紋章。

どこかで見覚えのある紋だった。


> 『彼の名は《ザイデン》――異界研究を進めた裏ギルドの長』


『かつて王都で禁忌を犯し、姿を消した“魔導官”よ』




「ザイデン……!」


サティも声をあげる。


「ルメリアの旧魔導院の“禁忌指定者”リストに載ってたわ。消息不明、死亡扱いだったはず……」


> 『彼は今も生きている。異界に“拠点”を築き、こちら側への侵食を進めている』




「それが……“黒霧の源”?」


> 『ええ。そして、あなたの持つ《契約の剣》は……その侵食を断つ“唯一の刃”』





***


魔獣をすべて倒し終えたフィーネの前に、最後の幻影が現れる。


ヴェリシアの影は、剣を前に静かに手を差し出した。


> 『私にはできなかった。封じることも、戻ることも』


『でも、あなたなら……“選び直す”ことができる』




その言葉とともに、フィーネの刻印が再び光り――

剣が共鳴する。


> 【システム:契約者認証進行──“封印制御権”取得】


【解放された記憶:霧境の座標──座標転移可能】




「……異界への入り口の、座標が――!」


フィーネの瞳に、暗黒の空間が一瞬映る。


その瞬間、ヴェリシアの幻影は微笑みながら言った。


> 『あなたの物語が、ここから始まる』


『私の願いを……世界の願いに変えて』




そして、彼女は光に還った。



***


「サティ、急ごう。次は……ザイデンを見つける」


「ええ。“異界の拠点”が存在するなら、そこに行くしかないわ」


フィーネは契約剣を背に背負い、霧の中の廃都を後にした。


彼女が歩く道の先には――

かつての魔導官であり、異界を裏から操る“ザイデン”との対決が待っていた。

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