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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第7章 野外演習編

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王命と学院依頼

私は今、王城の正門に立っている。


──陛下に、直接話があるからだ。


「陛下、門番からの知らせです。サティという方が、陛下に謁見したいと城に来ておりますが、いかがいたしますか?」


報告を受けた陛下は、紅茶のカップを片手に静かに言った。


「応接室に案内するように」


「かしこまりました」


その言葉に従い、私は衛兵に案内されて応接室へと足を踏み入れる。


「サティ、今日はどんな用だ?」


部屋に入ると、すぐに陛下が穏やかに問いかけてきた。


「実は、お願いがあって来たの」


「奇遇だな。私も《死神》に依頼したいことがあったところだ。まずは、君の要件を聞こうか」


「街の外壁を広げたの。だから、冒険者ギルドも街の中央に移動させたいと思ってるの」


「そんなことか。領土の管理は領主に一任している。好きにして構わん。ただし、事前に何をするかは報告するようにな」


「分かったわ。じゃあ、陛下の話は?」


私の用件が片付いたところで、今度は陛下に話を振る。


「サティ、王立学院は知っているな?」


「名前くらいは。確か、貴族のための学校でしょ?」


「もとはな。だが最近は、平民の入学も認めるようになった」


「……それって、いずれ争いの火種にならない?」


「今のところ、そのような報告は無い。うまくやっているようだ」


「それで、依頼っていうのは?」


「この学院、座学は教師が行うが、実技授業は冒険者が担当してきた。だが近年、冒険者の質が低下していてな……」


「その件なら、力になれるかもしれないわ」


「本当か?」


「本当よ」


「だが、どうやって?」


「前にも言ったでしょ? 街を改革してるって」


「ああ、確かに」


「今、私の領地では複数の分野を融合した学院を作っているの。まだ生徒はいないけど、準備は進めてる」


「複数の分野?」


「魔術、冒険者育成、ダンジョン探索、その他いろいろ。今後はダンジョンも作るし、適任の教師も招く予定」


「……適任の人物?」


「《剣聖》《聖女》《勇者》《魔王》よ」


「……すまん、聞き間違いか? 《魔王》と聞こえた気がしたのだが」


「《魔王》で合ってるわ」


「……お前、《魔王》と親しいのか?」


「うん、大丈夫。悪い子じゃないし、契約してるから」


「……もう何を言われても驚かんぞ」


「召喚しよっか?」


「しなくていい!」


――後でこっそり召喚してみるつもり。


陛下が溜息をついたところで、さらに続けて言った。


「実は、もうひとつ依頼がある。王立学院の野外実習、その監督をしてほしいのだ」


「野外実習?」


「詳しいことは学院の雑用係――エリィに聞いてくれ」


「了解。じゃあ、行ってくるわ」


私は軽く会釈して応接室を後にし、学院へと向かった。



* * *


王立学院。石造りの堂々とした門構えと広大な敷地。中庭には生徒らしき姿もちらほら見える。


正門を通り、事務棟に入り、窓口に声をかけた。


「あの、すみません」


「どうされましたか?」


柔らかい声とともに、受付にいた女性が笑顔で返してくる。


「エリィさんという方はいらっしゃいますか?」


「エリィは私ですが?」


「あ、よかった。陛下からエリィさんに、野外実習の監督について話を聞くように言われまして」


「……なるほど。では中へどうぞ」


私は彼女に案内され、学院の事務室へと足を踏み入れた。


ここから、王立学院での新たな日々が――静かに幕を開ける。


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