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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第6章 領地繁栄編

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王都にて、土地購入と決意の朝

翌朝、まだ陽が昇りきらぬうちに、私は転移魔法で王都へと足を踏み入れた。


今日の目的は、王城へ向かい陛下に新たな計画を提案すること――だったのだけれど、その前にどうしても済ませておきたい用事があった。


「家を建てるための土地を買わないとね」


私はまっすぐに商業ギルドへと向かう。


王都の中心部にそびえるその建物は、かつて幾度となく訪れた場所でもあった。だが、今日は少し気持ちが違う。新たな始まりのための、大切な一歩なのだ。


ギルドの扉を開けると、すぐに中から明るい声が飛んできた。


「ようこそ、商業ギルドへ!」


受付嬢と思しき女性がにこやかに頭を下げる。


「今日はどのようなご用件でしょうか?」


「土地を買いに来ました」


私がそう告げると、彼女は慣れた手つきで受付票のような札を一枚取り出し、手渡してくる。


「かしこまりました。こちらの番号が呼ばれるまで、ロビーでお待ちください」


「分かりました」


私は静かに頷き、席に腰を下ろす。待っている間、どんな家を建てようか、想像を巡らせる。ギルドに近い立地、広めの応接室、地下には避難用のルートを……それとも魔力供給用のクリスタル部屋も作ろうか。


「504番の方!」


はっとして顔を上げる。呼ばれたのは、私の番号だった。


案内された席に向かい、指定された504の札の前に腰を下ろすと、担当者が書類を準備しながら問いかけてくる。


「土地の購入をご希望とのことですが、その前に――商業ギルドへの登録はお済みでしょうか?」


「はい、済ませています」


「では、恐れ入りますが登録証の提示をお願いできますか?」


私はポーチから登録証を取り出し、相手に手渡した。


その瞬間、担当者の目が見開かれる。


「これは……! 失礼しました、まさか壱級の方とは!」


「気にしないでください。壱級が珍しいことは分かっていますから」


「いえ、つい驚いてしまって……失礼いたしました。それでは、土地のご案内をさせていただきます」


いくつかの候補地が提示された。地図と値段、面積、周辺環境――一通り目を通し、私は迷わず一番高額な土地を選んだ。


「こちらでよろしいですか?」


「お願いします」


契約書に署名し、土地の権利を手にした瞬間、少しだけ胸が高鳴った。


これで、新しい家の土台は整った。あとは、私の手で建て上げるだけ。


「では、土地の登記処理はギルドの方で完了させていただきます。本日はありがとうございました!」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


一礼してギルドを出ると、私は空を見上げた。


朝の光が王都の石畳を照らしている。人々の足音が交差する中、私はひとつ大きく息を吐いて歩き出す。


「さあ、次は王城ね」


本来の目的を果たすため、私は王都の中心――あの玉座がある場所へと、足を進めていった。

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