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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第5章 王城占拠編

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陰謀の終焉と真実の刃

「あなた達、なんで城を占拠したの?」


激しい剣戟が交差する中、サティ・フライデーは目の前の女に問いかけた。彼女はこの襲撃を率いていた賊の親玉、リオリア。


「私はね、この国の貴族ってやつが大嫌いなのよ」


レオリアは吐き捨てるように言う。怒りの炎がこもったその声には、ただの私怨ではない何かが感じられた。


「貴族は、自分たちのことしか考えてない。民の苦しみなんて興味がないくせに、偉そうにふんぞり返って……!」


「確かに、そういう輩もいるわ。だから、否定はしない」


サティは冷静に答えながら、剣を交える。火花が散り、鋼と鋼が唸る。


「でもね、私が出会ってきた貴族たちには、そんな人はいなかった」


「お前は、上っ面しか見えてないんだよ。根本的なところ、本心を分かっていない」


「そうかもしれない。でも、世の中って、見えないからこそ希望を持てることもあるのよ」


そう言いながら、サティはレオリアの剣を軽く受け流し、懐へと踏み込む。そして一閃――彼の脚に鋭い切り傷を刻んだ。


「ぐ……! あんた、さすが《死神》ね……」


レオリアは苦笑しながら膝を折った。予想以上に深い傷だったらしい。だが、彼女の顔にはなぜか安堵のようなものすら浮かんでいた。


「サティ! 終わった?」


フィーネとルアが駆けつけると、サティは剣を次元倉庫へと仕舞いながら頷いた。


「ええ、もう大丈夫。終わったわ」


レオリアのポケットから、魔道具が見つかる。それは通信や魔術を妨害するための装置――結界のようなものであった。


「この魔道具が、連絡を遮ってたのね」


そこへ、現れたのは人質として捕らわれていた宰相だった。


「それで……この賊たちはどうなさるおつもりですか?」


「戦士隊に引き渡します」

サティは簡潔に答える。


「宰相も人質だったんですね」


「ええ、まったくもって災難でしたよ」


そう言いながら、宰相はにこやかに笑い、拘束された賊たちの引き渡しに協力した。ルアもそれに頷く。


「お願いします」


「お気になさらず。これも、私の仕事ですから」


こうして王城襲撃事件は幕を閉じた――かに思えた。


「これで、終わったわね」

「しばらくは、ゆっくり休まないとね」


だが、フィーネが鋭い目でサティに言う。


「まだ終わってないよ、サティ」


「……!」


そうだった。忘れていたわけではない。ただ、心のどこかで蓋をしていた。


「ユーリシアを……まだ助けてない」


「今思うと、おかしいよね」

「何か気がかりでも?」とルアが尋ねる。


「宰相のあの言葉、引っかからなかった?」


「“近くに冒険者がいる”ってやつ?」


「そう。ここは王城。そんなに簡単に冒険者が出入りできる場所じゃない」


3人は顔を見合わせた。


「つまり……宰相は嘘をついていた?」


「可能性は高いわ。とにかく、本人に聞いてみよう」


サティは門番に確認を取ったが、宰相はまだ城から出ていないという。


「……怪しい。ルア、探知魔法使える?」


「ええ、任せてください」


数瞬の静寂の後、ルアが目を開いた。


「怪しい気配、見つけました。ユーリシア姫の部屋に向かってます!」


「やっぱり……!」


サティはためらわずに《転移》の詠唱を開始した。


「《転移》――」


一瞬にして、ユーリシアの部屋にサティは現れる。


「ユーリシア!」


「サティ!? どうしてここに……」


「そんなことどうでもいい。とにかく、今すぐ移動します」


彼女の手を取り、再び転移――辿り着いたのは、サティの領地ルメリアにある屋敷だった。


「サティ……意外と大胆なんですね」


「ごめんね、説明もせずに」


だが、その後に明かされた真実は、想像を遥かに超えていた。


――宰相の部屋からは、不正の証拠が大量に見つかり、国家反逆罪が確定。

爵位も貴族の地位も剥奪され、国外追放となった。


クラウン王国を揺るがした王城襲撃事件は、宰相の陰謀という形で終焉を迎えた。


「これで……しばらくは領地のことに専念できそうね」


そう呟くサティの瞳は、ただ前だけを見つめていた。

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