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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第5章 王城占拠編

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静かなる侵入者たち

時を同じくして――国王陛下と《剣聖》《聖女》を迎えたパレードが賑やかに進行している裏で、王城は不穏な気配に包まれていた。


「君たち、ここは陛下の城だ。速やかに立ち去りなさい」

王城の正門を守る門番が、目の前に現れた黒衣の一団を警戒する。

その言葉に、一団の先頭に立つ女が薄く笑った。


「分かってるよ。でも――おやすみ」


女が指先で小さく印を描き、そっと呟いた瞬間、門番は目を見開く暇もなくその場に崩れ落ち、深い眠りへと落ちていった。


「魔法か……」

後ろの男たちは息をのむ。だが、リーダー格の女は動じることもなく、振り返らずに言い放つ。


「王城の中に陛下はいない。今日のパレードで王族の多くは不在よ。……つまり、今が最適ってこと」


「で、今回の依頼内容……やっぱり陛下の暗殺ですか?」


そう尋ねた男に、リーダーの女は振り返り、深いため息をついた。


「……あのねぇ。依頼書、ちゃんと読んだ?」


「いや、その……なんとなくで……」


「バカ言わないで。今回の任務は『第二王女の拉致』。殺すのは論外。わたしたちが手を下すのは、あくまで緊急時だけよ」


「了解です……あぶねぇ、怒られるとこだった……」


「気をつけなさい。こういう仕事で一番怖いのは、味方の不注意なのよ」


女の眼光が鋭くなったのを感じた男たちは、一斉に背筋を伸ばした。


「それと、あの装置。忘れてないでしょうね?」


「はい!妨害装置、ちゃんと持ってきてます」


男が懐から取り出したのは、黒い金属製の魔道具だった。ミーティアなどの通信装置を封じ、外との連絡を一切断つ妨害用の術具だ。


「それを第二王女の部屋の前に設置して。万が一、通信されると厄介だから」


「了解です」

一人が頷いてその場を離れていく。


城内の警備は、パレードによって最小限に減らされていた。かろうじて残された兵たちも、眠らされるか、襲われて動けなくなっていく。


「……さて、始めましょうか」

リーダーの女が呟いたとき、王城の奥に潜む静かな闇が、ゆっくりと牙を剥き始めた。


事件は、もう始まっていた。

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