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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第4章 パレード編

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光と栄養の前夜

翌朝、王都の空は雲ひとつない晴天だった。


クラウン王国の王城。荘厳な玉座の間にて、国王の威厳ある声が響く。


「冒険者サティ。――《剣聖》と《聖女》の護衛、ご苦労であった」


「お二人が無事に到着されたこと、それだけで十分です」

サティ・フライデーは深く一礼し、静かに答える。


その隣には、昨日領地メルリアに泊まった《剣聖》フィーネと《聖女》ルアの姿があった。


「サティさんには大変お世話になりました」

ユリアが笑顔で言うと、ルアも続ける。


「はい。おかげで安心して王都に入ることができました」


「そうか……それは良かった」

王は微笑を浮かべながら、玉座から立ち上がる。


「今夜は、ぜひ城に泊まっていただきたい。明日には国中を挙げて歓迎パレードを行う。そして夜には、盛大な祝賀パーティを開く予定だ」


「パレードにパーティ……ずいぶんと豪華ですね」

サティが少し目を丸くしながら言うと、国王は誇らしげにうなずいた。


「それだけ、諸国の英雄を迎えるというのは特別なことなのだ。今夜はゆっくりと休んでくれ」


その言葉に、フィーネとルアが顔を見合わせ、サティに向き直る。


「サティさんも、一緒に泊まりませんか?」

「私たちともっと話したいです!」


サティは一瞬驚いたように目を見開き――そして柔らかく微笑んだ。


「うん。泊まるよ。……フィーネとルアと一緒に夜を過ごせるなんて、そう何度もあることじゃないからね」


「やった!」

フィーネが思わずガッツポーズを取り、ルアも小さく微笑んで喜びをにじませる。


その夜、王城の貴賓室に用意された広間で、三人はまるで旧知の友人のように語り合った。

旅の話、魔法の話、故郷の文化。

誰かに気を遣うことも、立場を意識することもなく――

ただ、1人の女の子として、夜更けまで語り合う時間。


「……ねぇ、サティ」

ふとフィーネが声をひそめる。


「死神って呼ばれてるけど、全然そんな感じしないよね」


「そう?」

サティはお茶を啜りながら返す。


「見た目は小柄で優しそうだし、話してるとすっごく落ち着くし。むしろ、癒し系の《守護神》って感じ?」


「ふふ……それは言いすぎよ」

笑いながらも、サティの心の中は少しだけ、温かくなっていた。


やがて、夜も更け――

それぞれの部屋に戻り、明日の華やかな舞台へ備えることにした。



そして翌日。

王都の大通りには、朝から大勢の市民が詰めかけていた。


街の中央通りには色鮮やかな花が撒かれ、王国の旗がはためく。


――クラウン王国史に残る、盛大な歓迎のパレード。

《剣聖》フィーネ・カステン、《聖女》ルア・シエンの来訪を祝う、光と誇りの儀式が始まろうとしていた。


その中で、ひときわ目を引く漆黒の衣装を纏った人物。

民の間でささやかれる異名――《死神》。


しかしその実、彼女こそがこの場のすべてを裏で支える“守護者”なのだ。


パレードの華やかさの裏で、サティの視線は冷静に街の動きを追っていた。


――何事も起こらないことを祈りつつ。

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