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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第30章 学院占領編

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模擬戦

「魔力測定、ご苦労だった。君たちにはこれから学院の敷地内にある闘技場に移動して、一対一の模擬戦をしてもらう」


「模擬戦か。楽勝だな」


「油断と慢心は禁物だ。気をつけろ」


「はい!」


こうして二つ目の項目・模擬戦が始まった。


* * *


「やっぱりレイシア様はお強いわね」

周りの受験生や教師が姫様を褒める。


「レイシア姫は強いな」

教師の中にも姫を賞賛する者は少なくない。


「それに比べてあの女は何者なんだ?」


「レイシア様の護衛らしいけど?」


「姫様はあんな強いのに護衛なんていらないだろ!」


「万が一の時の保険とかじゃない?」


「そうかもな」


私の噂まで聞こえてくる。


「勝負あり!勝者、レイシア!」


レイシアの戦いが終わった後も何組か戦いがありしばらくしてから私の出番がやってきた。


「サティ・フライデー!相対するはルミエナ・グリーベル!名前を呼ばれたものは武舞台に上がりなさい!」


「すぐ終わらせるか!」


「あなたがサティですか噂は聞いています」


「あなた、私を知ってるの?」


「えぇ!もちろん。私はある組織の実行部隊隊長《■■》と申します」


「なんで、そんな怪しい人が試験受けてるわけ?」


「シッ」

彼女は人差し指を口元に当てると、呪文のようなものを言葉にする。


「『音感、この世に在るものなり。一刻、除外せよ』」

次の瞬間、周りの音がかき消されるかのように聞こえなくなった。


「少し話をしたかったんで、音消しの結界を張らせていただきました」


「音消しの結界?」


「それにしても貴方には参りましたよ。まさか学院内に戦士隊を投入するとは」


「あなた、見てたの?」


「えぇ、見てました」


「正体明かしたってことはわざわざ捕まりに来たってわけ?」


「まさかまさか」


「貴方には感謝してるんですよ?」


「あなたがアイツらを捕縛してくれた」


「まだ状況の確認はしてないから捕縛したかは分からないわよ。それに1人には逃げられたし」


「いえいえ、組織の情報に間違いはありません」


「組織?あなた、何者なの?」


「私が何者かは言えないですけど、組織の名前くらいは教えてあげましょう!」


「親切なとこもあるのね」


「私は《白蛇はくじゃ聖災せいさい》幹部の《郷凛ごうりん》カエラ・ゴールドと申しま〜す」


「さっきアナウンスで、呼ばれてた名前は偽名?」


「いいえ?本当の名前ですよ?」


「え、じゃあ今の名前が偽名なの?」


「質問が多いですね」


「一つだけ答えましょう。私がなぜ色んな名前を使っているのか───それは、本当の名前を知らないからでしたぁ」


「そんなことあるはず」


「私って小さい頃から一人だったんですよ。だから、あの方に拾ってもらって初めて生きる意味を見つけたんです。まぁ、顔合わせは済みましたし、あたしは帰りますね」


「え、試験は?あなた、そんなんでも一応、受験生なんでしょ?」


「はぁ、上から目線?説教?あたしはね、そうやって上から目線で話しかけられるのがたまらなく嫌なんですよねぇ。全部、ぶち壊したくなってくるんです。世の中、幸せなことばかりじゃないんですよ?あなたにとっては毎日が幸せに感じるような日常でも、他の誰かにとっては憂鬱で無気力な日もあるんです」


「私は、自分が恵まれてると思ったことは一度もないわ」

もし恵まれているなら《大罪》なんてスキルを当てるはずがない。まぁ、そのスキルのおかげで自由に暮らせてる訳だけど。


「とにかく、あなたとは近いうちに会いそうな予感がします。それまで自分を可愛がっていてくださいね」

そう言うと彼女は結界を解いて消えた。


「何が起こったのでしょうか...おっと!武舞台にはサティ・フライデーだけ!勝負はサティ・フライデー!」


「なんとか、勝てたわね」


「続いては魔獣討伐になります!しばらくそのままでお待ちください!」

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