《狂美》
サティたちが出てくる数秒前。
何も無いところに突如、亀裂が出来た。
「ここは、学院?」
「裏庭ね」
結界から出た私たちはひとまず状況を整理することにした。
「まずは賊の一掃ね。そのためには中に入らないと」
「正面からは入れないの?」
「入れるけど見つかるリスクがあるわ」
「なら、侵入出来るとこを探すとか?」
「そういうこと」
本当は次元の狭間が建物の中に繋がっていれば良かったんだけど現実はそんなに甘くない。
私たちは学院への侵入を始める。
侵入場所を探し始めて10分頃、物置き小屋の近くで魔法陣を見つけたため起動してみると建物の中に入ることが出来た。
「ここは・・・」
私がどこか考えているとレイシアが疑問を解消してくれる。
「理事長室ね」
「理事長室ってドアが開かないことで有名よね」
「あのドアは正しい手順を踏まないと開かない仕組みになってるのよ」
「正しい手順って...なんのためのドアなの?」
「身を守るためなのよ」
「誰も入って来れないのね」
「特別な力を使わない限りはね」
「特別な力?」
「なんていうか、加護っていうの?そういうのがあるみたいよ」
「加護?」
「詳しいことは分からないけど地脈の加護だったかしら」
話していると突如、人の声が聞こえてきた。
「まさかこの部屋に人がいるとは...聞いていませんねぇ」
「誰?」
私の問に答えるはずもなく相手は独り言を言っている。
「困りましたね困りますよ。これは問題です」
「あなた、誰なのよ」
「私は《狂美》。確認です。貴方が《死神》ですね」




