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これからのこと
筆記試験が終わり、実技試験の連絡待ちのため学院の近くにある宿に泊まることにした私とレイシア様。
「サティさん、流石にこんな所では泊まれませんよ」
「たしかに」
この宿は良くいえば安い。
だが、レイシア様みたいな高貴な身分のお方が利用するとなるとこの部屋では狭すぎるのだろう。
「どうしましょうか」
今まで何事にも反対してこなかった姫様がまさか宿のことで反発してくるとは。
「サティさん......いえ、サティ。あなたが他にも力を隠し持っていることはなんとなく察しています」
「レイシア様...」
「それに、お父様があなたを護衛に任命したのには何か訳があるはずです」
「分かりました。出し惜しみせずお守りいたします」
「なら、早速。寝心地の良い部屋を用意してください」
「はいはい。分かりました」
まったく、この姫様。ユーリシアより手が掛かるかもしれない。




