【特別編】ハロウィン
「サティ!」
私が朝食を食べているとルリが家にやって来た。
「ルリ、どうしたの?その可愛い格好」
「褒めてくれてありがとう。仮装よ!」
「仮装?」
なぜルリが仮装?なんてことをしているんだろうか。
私は状況を呑み込むのに時間がかかった。
「これはね、魔女の仮装!」
「なんで仮装してるの?」
つい聞いてしまった。
「今日が何の日か知らないの?」
「何か特別な日だっけ?」
「ハロウィンだよ」
「ハロウィンか!」
書物で読んだことがある。
古の時代。
今とは違い多種多様な種族がいたらしい。
魔女や狼、エルフなど、色んな種族が生活していたとか。
「魔女って、絶滅危惧種よね?」
「うん。今もどこかで生きているって噂もある」
「そうなのね」
魔女か、まだ生きてるなら会ってみたいな。
***
ルリが帰った後、今度は子供達がやって来た。
「ハッピーハロウィン!」
子供達が同時にそう言ってきた。
「お菓子ちょうだい!」
「お菓子くれないとイタズラしちゃうぞ!」
「お菓子?」
今、家にはこの前買ってきた高級菓子しかない。
「ちょうだい!」
「ちょっと待っててね!」
私が楽しみにしてたお菓子が……
「ありがとう!領主様!」
「気をつけて帰りなさいよ」
「また来るかもしれないし買いに行こうかしら」
サティはお菓子を買うため菓子屋に向かった。
「これで何人来ても問題ないわね」
サティの予想通り子供達がお菓子を貰いに来た。
「買っておいて良かった」
「今日はハロウィンだったわね。来年はちゃんと子供向けのお菓子を用意しておかないと」
「サティ、このお菓子どうしたんじゃ?」
帰宅したラミルが声をかけてくる。
「ラミル、朝からどこ行ってたの?」
「なに、今日はハロウィンじゃからな」
まさかラミルもハロウィンを知っていたとは。
「それで、その荷物は?」
「お菓子じゃよ」
「貰ってきたのね」
「見た目は子供じゃからな。それよりこんなに食べきれん」
「一緒に食べればいいんでしょ」
私たちその日のうちになんとかお菓子を食べきることが出来た。
「また来年も貰えるといいな」
「ラミルは成長しないから、大丈夫よ」
「今とてつもなく重要なことを聞いた気がするのじゃが」
「なんでもないわ」
「まぁ、疲れたし寝るか」
サティは目をつぶりながら考えていた。
来年はどう過ごしているのか。
ラミルみたいに新しい家族が増えているのか。
ルリのように後輩受付嬢と仲良くなるのか。
姉妹のように慕ってくれる子が現れるのか、など考え出したらキリがない。
「私も寝よっと」
ハロウィンは、今日で終わる。だけど私の物語はまだまだ終わらない。




