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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第3章 王女護衛編

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再会

「サティさん宛に手紙が届いていますよ!」


昼下がりの食堂で昼食をとっていた私に、看板娘のモンファが声をかけてきた。手には一通の手紙を握っている。


「手紙? 誰からだろう……」


受け取って封を開けると、見覚えのある筆跡で書かれた一文が目に飛び込んできた。


> 《死神》よ。最近、ギルドを休んでるようだが何かあったのか?

色々と話を聞きたい。王都にあるギルド本部まで来てくれ。




――差出人は、王都ギルド本部の総督、ハイド。


「……そういえば、最近、ギルドで働いてなかったな……」


嫌な予感がする。叱られるのは避けたいところだが、逃げるわけにもいかない。私は意を決して、王都ギルドへと向かった。



* * *


「久しぶりだな、《死神》」


「……久しぶりです。なんのご用でしょうか?」


ギルド総督ハイドの顔は変わらず豪快だったが、その目にはしっかりと観察の色があった。


「なんのって……分かってるだろうが? 最近ギルドに顔を出していない理由を聞きたくてな」


「……それについてはお詫びします。あと、今日はお願いがあってきました」


「お前が“お願い”なんて、雪でも降るのか?」


「……私の所属を、トキワカウンターから王都のギルドに移したいんです」


「急だな。理由を聞こうか?」


私はこれまでの出来事――ユーリシア様との関係、王家専属の申し出まで、すべてを説明した。


「……なるほど。そういう流れだったか。予想以上にでかい話になってるな」


「ええ」


「移籍は簡単じゃないが、“短期研修”という形なら可能だ。一週間、王都所属として扱う」


「ありがとうございます。それで構いません」


「……それにしても、あの嬢ちゃんが戦士になってるとはな。世の中、何が起こるかわからんもんだ」



* * *


翌日。


私は再び王城へと招かれていた。


「冒険者サティよ。王家専属冒険者の話――受けてくれるか?」


「……はい。身に余る光栄です。是非、お受けしたいと思います」


王都での活動も増えるだろう。何より、ユーリシア様に“いつでも会える”というのは大きな理由だった。


「では、これを授けよう」


そう言って、国王陛下アーノルドは、王家の紋章が刻まれた小刀を私に差し出した。


「その力、国のために役立ててくれ」


「はい……必ず」



* * *


謁見の後、私は転移魔法で自宅に戻り、ギルドにも顔を出した。


「先輩!」


「お土産、ありがとうございます!」


「最近来ないから心配してたんですよ!」


久しぶりのギルド。仲間たちの明るい声に囲まれて、私は自然と笑顔になる。


「ごめんごめん。これからはちゃんと顔出すようにするから、許してね」


「許しますけど、またお土産お願いしますね!」


「うん、任せて!」


笑い合う時間の中、私は少しだけ昔の自分を思い出していた。



* * *


その頃――王都、王城の応接室。


国王アーノルド、王妃、そして宰相が密やかに話し合っていた。


「トキワタウンの領主職……あの《死神》にやらせてみては?」


「彼女なら務まると思うけど……陛下、どうお考えですか?」


「……ふむ、あそこにはすでに領主がいるから難しいだろうな」


「では、王都近郊の街を任せるというのは?」


「うむ。それなら可能かもしれん。王家専属冒険者にした以上、爵位を与えることも考えねば」


「では、その方向で準備を進めましょうか」


「そうじゃな――《死神》サティ・フライデーを、侯爵相当として迎えることにするか」


サティの知らぬところで、新たな運命の歯車が回り出していた――。

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