約束
「それでは今日は失礼します」
レイシア様と茶会を満喫した私は、姫様に挨拶する。
「待ってください」
部屋を去ろうとした時、レイシア様に話しかけられる。
「えっと....まだお話がありましたか?」
「確か、領主をされているんですよね?」
「はい」
なぜ知っているんだろう。仕事の話をした覚えはないんだけどな。
「陛下からお聞きになったんですか?」
「お父様は仕事のことは話しませんよ」
「じゃあ、どこで私のことを...」
「貴族学院にいた頃に先生たちが話しているところを聞いたことがあるんです」
「そうでしたか」
「それで、お願いがあるんです」
「お願いですか?」
「1度でいいからルメリアに行ってみたくて」
「なるほど」
「ダメですよね」
「魔術学院に合格したらいいですよ」
「ホントですか!」
私の言葉を聞いたレイシア様が嬉しそうな表情になった。
「女に二言はありません!」
「約束ですよ!」
そう言ったあとでレイシア様が私に質問してくる。
「あの、さっきからどうして敬語を?サティさんの方が年上ですよね?」
「そんなことないですよ」
レイシア様には内緒だが、私の身体は権能の影響で18歳頃から成長が止まっている。
だから、若い頃のままなのだ。
「サティさんの方がお姉さんだと思ったんですけどね」
「試験、頑張ってください」
激励すると、不思議な目で見られた。
「サティさんも試験を受けるんですよ?」
「━━え?」
今、なんて言いましたか?
「私も....試験を受ける?」
「はい」
「免除になるのでは?」
「なりませんよ!」
「試験ってどんな感じなんですか?」
「筆記と実技があります」
「実技は問題ないです。けど筆記は問題です」
「なにが問題なんですか?」
レイシアの質問に答えるサティ。
「陛下から聞いたいると思いますが私は学院に通っていないんです」
「なるほど。ルメリアに行っても良いですか?」
「受かったらいいですよ」
「勉強教えてあげようと思いましたのに」
「お気持ちだけ受け取っておきます」
「引き止めてすみません。試験会場で会いましょうね」
「楽しみにしてます」
レイシアと別れたサティはルメリアに戻ったのだった




