お風呂
ラミルと一緒に帰宅した私は夕食を食べる前に事情を聞くことにした。
「ここに来た訳を聞かせてもらえる?」
「仕方ないのぉ」
「いいから話して」
「お主と別れてから妾は旅に出た」
「それは知ってる。なんで帰ってきたのか聞いてるのよ」
「旅してる途中、何回かダンジョンに潜ったこともあってな。その時に思ったのじゃ、ボスにしては弱すぎる」
「そんなこと私に言われてもね」
今の話だとボスが弱くて私のところに来たということになってしまう。
「だからサティ!」
ラミルはサティに顔を近付ける。
「なによ?」
「決闘じゃ!」
「決闘って、どういうこと!?」
「妾はお主と戦うためにここに来たのじゃ」
「・・・」
勝負しろとかそんなことだろうとは思っていたけどまさか決闘だとは。
「要はリベンジしたいってこと?」
「何を言う?妾は負けたことなどないぞ?」
「前戦った時負けたでしょ」
「それは別じゃ」
「まぁ、時間あったら戦ってあげるわ」
「楽しみじゃ」
「それより、食事にしましょ」
「お主の手料理か?」
「そうだけど?」
「妾は美味いものしか食べないわよ」
「あのね、いい加減上から目線な話し方やめなさい」
「普通にあたしとか私でいいから」
「わかった。心掛けよう」
「それで好きな物は?」
「肉かな」
「分かった。ちょっと待ってて」
私はテーブルに食材を準備した後、調理を早めに終わらせる。
「おまたせ。美味しいと思うよ」
ラミルは料理を口に運ぶ。
「確かに、美味い」
「美味いじゃなくて美味しいでしょ」
「美味しいな」
「素直に感想を言うのは偉いわね」
「まあね」
「お風呂に入って寝るわよ」
「お風呂?」
そういえばこの国ではお風呂に入るのは貴族くらいなのよね。
「気持ちよくなれる場所よ」
「おぉ!妾...じゃなくてあたしも入りたい」
* * *
「さ、服を脱いで」
「脱がせて欲しい」
ラミルは甘えてくる。
「次からは、自分で脱いでね」
着脱を済ませた私たちは湯船に浸かる前に体を洗ってしまう。
「体は自分で洗えるわよね?」
「流石にね。でも髪は洗うの下手だから」
「洗ってあげる」
「ありがとう」
ラミルの髪は綺麗で洗いやすかった。
「じゃあ、入っていいよ」
「わかった!お主は?」
「私はまだ洗い終わってないから」
「ならば、お主の体はあたしが洗ってやろう!」
「私は一人で洗えるから大丈夫よ」
「遠慮するでない!」
ラミルは素手でサティの体を洗う。
「お主、体つき良いんじゃな。胸もそれなりにあって」
「そんなことないわよ」
しばらく他愛もない話をしながらラミルは体を洗ってくれた。
「じゃ、入るわね」
「気持ちいいぞ」
「そうよね〜。温かいし」
「また一緒に入ろうな」
「これから一緒に住むんだし、いつでも一緒に入れるでしょ」
「ここに住んでいいのか!?」
「誰もいない家に帰ってくるのは寂しいしね」
「ありがとう。サティ」
「こちらこそ。これからよろしくねラミル」
私たちはその後、就寝した。




