飲み会の翌日
翌朝。
ギルドの扉を開けたサティとルリを出迎えたのは───ぐったり机に突っ伏した同僚たちだった。
「……うぅ……頭が割れる……」
「昨日は飲みすぎた……」
「誰だよ、あんなに乾杯の音頭取ったの……」
サティは呆れ半分、心配半分でため息をついた。
「まったく……お酒はほどほどにってあれほど言ったのに」
ルリが隣でくすっと笑う。
「サティは全然平気だったもんね。むしろ元気そう」
「……だって、私そんなに飲んでないし」
仕方なく、サティは手早くポーションを薄めた回復茶を作り、机に並べた。
「はい、これ飲んで。胃に優しいから」
「……サティさん、女神だ……」
「ありがたや……」
同僚たちは泣きそうな顔でカップを抱え込み、ちびちびと飲みはじめた。
一方、ルリはと言えば――。
「ほら、サティ。こっちも片付け手伝うよ」
と、さっさと散らかった書類や空き瓶をまとめていく。
「ルリは二日酔いじゃないの?」
「んー、ちょっと眠いくらいかな。サティが隣にいたから、あんまり飲みすぎなかった」
「えっ……」
不意打ちの言葉に、サティは思わず頬を染める。
その様子を、回復茶をすすっていた同僚たちは見逃さなかった。
「……やっぱりこの二人、いい雰囲気だよな」
「昨日もそうだったけど……もう公認カップルでいいんじゃないか?」
「ちょ、ちょっと! 聞こえてますから!」
サティの抗議の声に、酒場以上の笑いがギルドに響いた。
───こうして、二日酔いとからかいにまみれた、平和な一日が過ぎていった。




