交流会
「今日はお疲れ様です! 乾杯!」
カーン!とグラスがぶつかり合い、酒場は一気に盛り上がった。
収穫祭が終わって数日、ギルドの職員たちと親しい冒険者が集まっての飲み会が開かれたのだ。
サティも制服ではなく、普段着の淡いワンピース姿で参加していた。
「サティさん、こっち座って!」
「……ありがとう」
気づけば彼女の周りには同僚や冒険者が集まっていて、いつの間にか宴の中心に。
「いやぁ、サティのおかげで最近はギルドも平和だよな!」
「本当にな! 不正申告がなくなったのもサティの目のおかげだ」
「……そんな、大げさだよ」
サティが照れくさそうに笑うと、横にいたルリがさらりと口を挟んだ。
「大げさじゃないよ。サティがいるから、みんな安心して冒険できるんだ」
その一言に場が一層どっと沸き、サティの顔はますます赤くなってしまった。
料理も次々と運ばれてくる。
焼き肉の香ばしい匂い、揚げたての魚、果実酒の甘い香り。
「サティ、この串焼き食べてみなよ。すごく美味しい」
ルリが差し出してくれた肉串を、サティは少し恥ずかしそうに口にした。
「……ん、美味しい! こんなの初めて」
「だろ? もっと食べなって」
自然と二人の距離が近くなる様子に、同僚たちがにやにやと視線を送ってくる。
「……おいおい、いい雰囲気じゃないか」
「飲み会で一番甘いのは料理じゃなくて、この二人だな!」
「や、やめてくださいっ!」
サティは慌てて声を上げるが、ルリはまんざらでもなさそうに微笑んでいた。
夜も更け、酒場はまだまだ賑やか。
けれどサティの胸には───仕事とも冒険とも違う、不思議に温かい記憶が刻まれていた。




