休日の街歩き
ギルドの連勤が続いたあと、ようやく訪れた休日。
サティは制服ではなく、淡い青色のワンピースに着替えて街へ出かけた。
隣にはもちろんルリ。
「今日はどこ行く?」
「せっかくだし……市場にでも行こうか。お祭りの後だから、きっと賑やかだよ」
ルメリアの市場は、いつにも増して活気にあふれていた。
色とりどりの果物、焼きたてのパン、珍しい布や小物。
冒険の合間にはなかなか見られない、日常の豊かさがそこにあった。
「サティ、この髪飾り似合いそう」
ルリが手に取ったのは、小さな青い宝石が付いたリボンの髪飾り。
「え、私に? ……少し子供っぽくないかな」
「そんなことないよ。可愛らしい」
ルリのまっすぐな言葉に、サティは思わず頬を赤らめてしまった。
昼食は市場の広場にある露店で。
焼き立てのパイを分け合い、果実ジュースで乾杯する。
「こうやって街を歩くのも、冒険やギルドの仕事とはまた違って楽しいよね」
「うん。普通に過ごすのが……一番贅沢かも」
午後は本屋に立ち寄り、雑貨屋を巡り、夕方には川沿いのベンチで休憩。
吹き抜ける風が心地よく、二人は自然と並んで腰掛けていた。
「また……こんな風に過ごしたいな」
サティがぽつりと呟くと、ルリは微笑んで答えた。
「ええ。いつでも、私はサティと一緒に」
───冒険も戦いもない、穏やかな一日。
その小さな幸せが、サティの心を満たしていた。




