お祭りの翌日
お祭りの翌朝。
ギルドのカウンターに立つサティの前には、疲れた顔をした冒険者や、祭りで散財した商人たちが列を作っていた。
「うう、飲みすぎて頭が割れそうだ……」
「依頼の報告だけで帰らせてくれ……」
サティは苦笑しながらも、手際よく処理をこなしていく。
「お酒はほどほどにしてくださいね。依頼の達成証明はこちらで確認しました」
「は、はい……」
ルリは横で書類整理をしながら、くすくす笑っていた。
「皆さん、すっかり祭り疲れですね」
「うん。でも、楽しそうにしてる顔を見るのは悪くないな」
昼休み。
職員休憩室では、同僚たちがお祭りの話題で盛り上がっていた。
「花火、すごかったよな!」
「私は屋台の肉串が最高だった!」
「サティさんはどうでした?」
急に振られて、サティは少し照れながら答える。
「私は……綿飴かな。懐かしい味がして」
「綿飴!? 可愛いなぁ、サティさん!」
職員たちに冷やかされ、サティは思わず赤面してしまった。
その横でルリがくすりと笑い、
「サティさん、照れてる顔も素敵ですよ」
と小声で囁くものだから、余計に顔が熱くなってしまう。
午後の業務が始まる頃には、いつもの日常が完全に戻ってきていた。
───でも、ほんの少しだけ、祭りの余韻が残っている。
サティはカウンター越しに街の人々を見つめながら、改めて思った。
「……平和で、いい日だったな」




