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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第27章 収穫祭編

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新人講習会

その日の午後、ギルドの訓練場には十数人の新人冒険者が集まっていた。


 まだ鎧もピカピカで、武器を握る手もぎこちない。


 そんな彼らの前に立つのは――サティだ。


「皆さん、ようこそルメリア支部へ。今日の講習では、依頼の受け方と冒険の基本を学んでもらいます」


 涼やかな声が響くと、新人たちは一斉に背筋を伸ばす。


 だが、その中の一人が慌てて手を上げた。


「あ、あのっ! 冒険者って、最初は魔王討伐とか行かなくてもいいんですか!?」


「いきなり行かせません」

 即答したサティに、場が笑いに包まれる。


「まずは薬草採取や小動物の討伐といった、安全な依頼からです。段階を踏まないと危険ですからね」


 次に質問したのは別の少年だ。

「えっと……報酬は、全部自分のものですか?」


「ギルドへの登録料や税が少し引かれます。それが街の治安や設備維持に使われているんですよ」


 説明をするたびに新人たちが「へぇー!」と声を上げる。


 その反応が新鮮で、サティの口元にも自然と笑みが浮かんでいた。


 やがて模擬依頼の時間になり、リオンを含む数人が「薬草採取」の実習へ向かう。


 訓練用の庭に植えられた薬草を、どの葉を摘むのか迷って右往左往する新人たち。


 中には草花を全部根っこから引き抜いてしまう者までいて、サティは思わず吹き出しそうになった。


「根こそぎ抜いたら次の依頼が成立しませんよ。ほら、正しい葉の見分け方は――」


 丁寧に教えるサティの姿を、見学していたルリがほほえましそうに見つめていた。

「ふふ……やっぱりサティ、先生みたい」


 その日の講習会は笑いと失敗の連続だったが、最後には新人たちが「また教えてください!」と頭を下げるほど、充実したものになった。


「ええ、もちろん。あなたたちが一人前になる日を楽しみにしています」

 サティの言葉に、新人たちは希望に満ちた表情で頷いた。

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