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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第27章 収穫祭編

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日常

 昼下がりのギルド。


 依頼を受けに来る冒険者の波がひと段落し、サティは小さく息をついた。


「ふぅ……午前の受理はこれで全部か。午後は新人たちの講習会ね」


 そう呟いたところで、カウンターに顔を出したのは、見覚えのある青年だった。


 まだ鎧も新しく、緊張気味に背筋を伸ばしている。


「す、すみません! 探索系の依頼を受けたいんですが……」


 新米冒険者の少年、リオン。


 初めて依頼を受けた日、緊張のあまり契約書を逆さまに持っていたのを思い出し、サティの口元が緩む。


「リオンくんですね。依頼は《薬草採取》がおすすめです。森の入口付近なので危険は少ないですよ」


「は、はい! ……でも、その、もし魔物が出てきたら……」


「その場合はすぐに撤退してください。命あっての冒険ですから」


 真剣な眼差しで伝えると、リオンは力強く頷いた。


 そのやり取りを見ていたベテラン冒険者たちが、ニヤニヤしながら口を挟む。


「おーおー、相変わらず新人には優しいなぁ、サティさん!」


「俺らにもその笑顔、向けてくれよ?」


「はいはい、冗談はその辺にしてください。あなたたちは依頼達成率が低いんですから、まずはそっちを改善してくださいね」

 にっこりと微笑んで言い切ると、ベテラン組は「ひぃ!」と声を上げて逃げていった。


 その様子に、ルリがカウンターの端でクスクス笑う。

「やっぱり、サティの笑顔は怖いんだね」


「褒めてるのか、それ」


「もちろん。だって……頼りになる受付嬢って感じだもん」


 サティは少し照れたように書類を片づけ、再びカウンターに視線を戻した。


「午後からの講習会の準備、終わらせないとね」

 街を守り、人を導くのも、この場所での大事な役割。


 たとえ影が迫ろうとも、この日常がある限り、自分は折れない───。



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