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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第26章 祭壇崩壊編

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黒幕討伐

───古代の森、戦いの跡。


霧散した瘴気の残滓は風に攫われ、夜明けの光が森を照らしていく。


長く閉ざされていた場所に、ようやく静寂と安らぎが戻った。


サティは杖を支えに立ち尽くし、肩で息をしていた。


黒幕の断末魔がまだ耳に残っている。

「……均衡、ね」


ルリが駆け寄り、彼女の腕を支える。

「サティ、もう無理しないで。身体、限界だよ……!」


サティは小さく笑みを浮かべる。

「大丈夫よ。あなたのおかげで……勝てた」


ルリはその笑顔に安心し、ぎゅっとサティの手を握った。


───その時。

クラウディアが姿を現した。


白い外套を翻し、森を見渡すと、淡く微笑む。


「見事です、サティ。ですが……忘れないでください。あの者が口にした“均衡”は、ただの妄言ではありません」


「どういうこと……?」サティが問い返す。


クラウディアは一瞬、答えを躊躇した。

だが結局、言葉を選びながら続ける。

「均衡とは、世界に課されたことわり。ひとつを倒せば、ひとつが芽吹く。……黒幕の討伐は確かに成された。しかし、その座を埋めようとするものが必ず現れる」


サティは唇を噛みしめる。


つまり、戦いはまだ終わっていない。


黒幕は倒した───けれど、それは大きな流れの“始まり”に過ぎないのだ。


ルリが不安そうにサティを見つめる。

「……また、戦わなきゃいけないの?」


サティは彼女の手を握り返し、静かに答えた。

「ええ。でも……今は一度、戻ろう。皆が待ってるから」


クラウディアも頷く。

「ルメリアでの役目が残っているでしょう。次の嵐が来る前に、力を整えることです」


───そして彼女たちは、森を後にした。

朝日が昇り、長き夜を越えた旅路の終着が照らされていく。


サティとルリは歩みを進めながら、これから待ち受ける未来を胸に刻んだ。

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