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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第26章 祭壇崩壊編

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祭壇崩壊

───大地が震えた。


サティの影が祭壇を締め上げるたび、石造りの古代構造は軋み、赤黒い光を噴き出す。


ひび割れが広がり、空へ伸びる虚空の裂け目も揺らいだ。


「やめろ……!」

黒幕が瘴気の剣を突き立てる。


祭壇の紋様が再び輝き、砕かれるはずの石が再生を始める。


「壊すことなどできん! 祭壇は“均衡”そのもの……お前の力では届かぬ!」


「いいえ……私の力じゃない」

サティは静かに呟く。


影の中から、ルリの光が差し込む。

「───《光封陣》!」


ルリの祈りの光が、影の鎖に沿って祭壇へと流れ込んでいく。


「影と光……相反する力を……!」

黒幕の声に焦りが混じる。


サティは杖を振り下ろし、力を重ねた。

「これは、私たち二人の力! 未来を閉ざさせはしない!」


───轟音。

祭壇を覆う影と光が爆ぜ、赤黒い光が押し潰されていく。


虚空の裂け目が縮み、耳障りな悲鳴のような音を上げた。


黒幕は必死に瘴気を呼び起こし、両手を広げる。


「ならば世界ごと……滅びるがいい!」

瘴気の奔流が一気に解き放たれ、森を覆い尽くす。


「───させない!」

サティは自らの影を全身に纏い、暴食の力を完全に解放する。


空間を呑み込み、瘴気を引き裂き、黒幕の魔力を食らい尽くす。


「お……おのれ……ッ!」

黒幕の声が掻き消される。


瘴気が引き剥がされ、外套が崩れ落ち、祭壇との繋がりが断たれていく。


──そして。


祭壇が、ついに崩れ落ちた。


虚空の裂け目も消滅し、古代の森には重苦しい静寂が戻る。


サティは杖を支えにして膝をつき、荒い息を吐いた。

「……終わった……の?」


ルリが駆け寄り、彼女の肩を支える。

「サティ……大丈夫……!」


その時。


崩れた祭壇の瓦礫の中から、かすかな声が響いた。

「……終わりではない。均衡は……必ず揺り戻す……」


黒幕の影が、瓦礫の中でまだ蠢いていた。

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