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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第26章 祭壇崩壊編

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───黒幕の剣が振り下ろされる。

空間そのものが捻じれ、避けようとしたサティの足元が歪み、逃げ道を塞がれる。


「……っ!」

反射的に杖を突き出し、暴食の力を展開。

歪んだ空間に影を溶け込ませ、力ずくでねじれを喰らい尽くす。


――ズズズ……ッ!

耳障りな音とともに空間の歪みがほどけ、押し潰されそうになっていた圧が一気に消えた。


黒幕の瞳がわずかに揺らぐ。

「空間を……食っただと?」


サティは荒い息を吐きながらも、杖を構え直す。

「私の力は“奪う”んじゃない。未来を繋ぐために“喰らう”のよ!」


影が地を奔り、黒幕の足元から無数の杭となって突き出す。

「───《影杭穿》!」


黒幕は祭壇の瘴気を呼び起こし、渦を作って防御する。


杭と瘴気がぶつかり合い、爆発が森を揺らす。


ルリが必死に結界を張り、衝撃から身を守りながら叫ぶ。

「サティ! 祭壇そのものを……!」


そう、黒幕は祭壇と繋がっている。

いくら攻撃しても力を補充されるだけ。

勝つには───祭壇との繋がりを断ち切るしかない。


サティは唇を噛む。

「……なら、祭壇ごと――!」


影が大地を這い、祭壇に絡みついていく。


だが黒幕は一歩前に出て、その行動を阻むように剣を翳した。

「祭壇を壊そうとするなら――世界が耐えられぬぞ!」


「それでも……!」

サティの声が震える。

彼女の胸中には迷いがあった。

祭壇を壊せば、均衡が崩れる危険がある。


けれど壊さなければ、黒幕は“扉”を開いてしまう。


その迷いを見透かすように、黒幕が嗤った。

「選べ、サティ。己の信じる正義か――それとも世界の均衡か」


杖を握る手に力がこもる。

影が唸りを上げ、祭壇を締め上げる。

ルリの祈りが背を押す。


そして、クラウディアの静かな声が心に響いた。

(───忍耐とは、立ち止まることではない。“迷いの中でも進む”ことだ)


サティは瞳を開き、真っ直ぐに黒幕を見据えた。

「私は───未来を選ぶ!」


彼女は影を祭壇へと解き放ち、黒幕と正面から衝突する。


───轟音が、古代の森を切り裂いた。

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