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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第26章 祭壇崩壊編

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それぞれの正義

───古代の森、中心。

幾重にも絡み合った木々が天を塞ぎ、昼なお暗い空間にひとつだけ開けた場所があった。


そこにあったのは、苔むした石の祭壇。


黒ずんだ文様が表面を覆い、まるで生きているかのように脈動している。


空気は重く、吐く息すら瘴気に溶けそうだ。


「……ここ、が……」

ルリが息を呑む。


彼女の白い指先が光を宿し、迷わせる幻影を払いのけてきたが、もう導きは必要ない。中心は一つ、ただ目の前にある。


そして、その祭壇の前に───黒い外套(がいとう)を纏った影が立っていた。


「来たか。サティ・フライデー」

低く響く声。


フードの下からのぞくのは、人か魔か判別しがたい冷たい双眸。


サティは静かに歩み出る。

「あなたが……黒幕、ね」


影は薄く笑った。

「黒幕……面白い呼び方だ。だが、ただ操っていたわけではない。この世界そのものの仕組みを正すためだ」


「正す? 人を犠牲にして、何を正すっていうの?」

サティの声は冷たいが、芯に怒りがあった。


黒幕は祭壇に手をかざす。


赤黒い紋様が一層強く光り、空間が軋むような音を立てる。

「犠牲とは、力の代償だ。世界は常に均衡を求める。お前が奪った力───暴食すら、その均衡を乱している」


その言葉に、サティの瞳が揺れる。


だが、迷いを振り切るように杖を握りしめた。

「だからって、許されることじゃない。ここで止める」


───緊張が張り詰める。

祭壇を背にした黒幕と、杖を構えるサティ。


瘴気が渦巻き、木々が呻くように軋む中、二人は真正面から相対した。


「来い。お前の力が本物かどうか、試してやろう」

黒幕の外套が広がり、黒い魔力が奔流のように噴き出す。


サティは深く息を吸い込み、前へと踏み込んだ。


───森の祭壇にて、ついに直接対決が始まろうとしていた。

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