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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第26章 祭壇崩壊編

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闇の残滓

森の静寂の中、サティは闇の残滓を見つめながら歩を進めた。


影の残り香───ただの魔力ではなく、どこか人間的な“気配”が混ざっている。

(……この感覚、知ってる……けど……)


ルリがそっと声をかける。

「どうする? 追う?」


サティは首を振る。

「今はまだ……無理に追えば、黒幕のペースになる。まずは、この残滓から手がかりを探す」


サティは暴食のスキルで、闇に残された痕跡を少しずつ吸収して解析する。


その中に、僅かに浮かぶ「声の断片」「気配の揺らぎ」「動作の癖」。それは、以前接触した何者か───知性を持つ魔族でも人間でもない、しかし感情の痕跡がある存在。


「……思ったより、複雑な存在ね」

サティは唇を噛む。黒幕は単なる敵ではなく、サティの過去や仲間との接点まで熟知している可能性がある。


「ルリ、この痕跡を頼りに行けるのは、この森の奥。安全とは言えないけど、何か手がかりがあるはず」

ルリはうなずき、二人は慎重に森の奥へと進む。


やがて、小川のせせらぎが聞こえる開けた場所に出る。


そこには、不自然に石が並べられた祭壇のような場所があった。

「……これは?」


サティが触れると、石の表面に魔力の痕跡が浮かび上がる。黒幕の残した“意図的な印”───単なる痕跡ではなく、彼女を導くためのメッセージのようだった。


その瞬間、サティの頭の中に断片的な声が蘇る。

「……サティ……覚えているかしら……」


声の微かな響きに、彼女の胸はざわめく。

(……知っている……この声……私、確かに……)


断片的ではあるが、黒幕の正体への糸口──過去の接点、感情、そして狙い。すべてが少しずつ見えてきた。


サティは深く息を吸い、決意を固める。

「……次に会った時は、絶対に私が主導権を握る」


ルリが小さく笑みを返す。

「なら、私も全力でサティの背中を守るわ」


森に残る闇と光の中、二人の決意は静かに、しかし確実に、黒幕との次の対峙へ向けて結晶していった。

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