観光!エルディナ王国
───試練を乗り越えた先にあったのは、想像とはまるで違う光景だった。
そこには、穏やかな笑顔を浮かべる人々と、色鮮やかな建物が立ち並ぶ街が広がっていた。
石畳の大通りの両脇には屋台が並び、香辛料の香りや甘い菓子の匂いが旅人たちを誘う。
まるで、試練の厳しさを忘れさせるような活気。
「……え? 普通に賑わってる街?」
ルリが呆気に取られて呟く。
「試練の国、なんて聞いたから身構えてたのにね」
サティは苦笑しながらも、屋台から漂う甘い匂いに目を奪われていた。
通りを歩けば、露店の商人が声をかけてくる。
「お嬢さん方! 異国から来たならぜひうちの果実を!」
「旅人さんには香草酒がおすすめだよ!」
仲間たちは思わず顔を見合わせる。
──戦いでもなく試練でもなく、ただの“観光”が始まったのだ。
「……ちょっとだけなら、寄り道してもいいよね?」
サティが小声で言うと、ルリが呆れながらも微笑んだ。
「もう“ちょっとだけ”じゃ済まなさそうだな」
彼女たちは市場を抜け、異国の街の観光へと足を踏み出す。
旅の緊張を解きほぐすように──笑顔と驚きに満ちた日々が始まろうとしていた。
読んでくれた方!ありがとう!
良かったブクマと評価!出来たら感想もくれると励みになります!
これからも頑張るから応援よろしくね!




