力の実感と仲間との再会
修道院の外、朝の光が差し込む回廊で、サティはゆっくりと拳を開いた。
手のひらに微かな振動──それは、セリーヌの試練で刻まれた新たな力の証だった。
「……やっぱり、少し変わったみたい」
小さく呟きながら、サティは心を落ち着ける。
深呼吸ひとつで、先ほどまでの幻影の感覚が鮮明に思い出される。
己の弱さを真正面から見つめ、それを乗り越えた実感が胸に広がった。
そこへ、駆け寄る足音。
「サティ! 本当に無事だったんだね!」
ルリが息を切らし、顔を輝かせて駆け寄る。
「うん、大丈夫。試練、乗り越えた」
サティは微笑む。目には以前よりも確かな光が宿っていた。
ルリは目を見開き、驚きを隠せない。
「……すごい。光が、違う……。前よりも、強くなったみたい!」
サティは力強く頷く。
「まだ全てを使いこなせてるわけじゃないけど……でも、これで次に進める」
背後に広がる朝の光の向こうには、次の目的地──未踏の地が見える。
風が吹き抜け、サティの髪を揺らす。
胸に刻まれた新たな力と覚悟を確かめるように、彼女は一歩を踏み出した。
「さぁ、行こう。まだ見ぬ世界が、私たちを待ってる」
ルリも笑みを返し、二人は並んで歩き出す。
その足取りには、試練を経て得た強さと、自らの意志で切り開く未来への確信があった。
薄暗い回廊を抜けると、光と風が二人を包み込み、次なる冒険の幕が静かに開かれた。




