表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第23章 謙虚の継承者・セリーヌ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

209/264

終幕

光の粒が空に溶け、静寂が訪れる。


足元の砕けた鏡は、いつの間にか滑らかな石畳に変わっていた。


サティは深く息を吐き、手の中の刃を消す。


「……終わった、の?」

その問いに答えるように、薄暗がりの奥から足音が近づいてくる。


「はい。あなたは自分に勝ちました」

セリーヌが姿を現す。紫の瞳は穏やかで、戦いの最中とは別人のような柔らかさを帯びていた。


「多くの者はここで心を折られます。偽りの自分は、最も信じてしまいやすい敵だから」

彼女はそう言いながら、サティの前に立つ。


その手がサティの胸に触れた瞬間、淡い光が広がった。

温かく、しかし背筋が伸びるような感覚──力ではなく、覚悟を刻む光。


「この力は、あなたが己を裏切らない限り、決して消えません」

セリーヌは微笑む。


「さぁ、次の道へ進みなさい。ここから先は、あなた自身が切り開くのです」


気づけば、修道院の奥にいたはずのサティは、もう外の回廊に立っていた。


扉は閉ざされ、二度と開く気配はない。


サティは拳を握りしめ、前を向く。


胸の奥には、新たに刻まれた確かな熱があった。


***

(回廊の外)

***


扉の向こうに戻ると、修道院の回廊には淡い朝日の光が差し込んでいた。


風が吹き抜け、どこか清々しい匂いがする。


「サティ!」

遠くから声が響き、仲間たちが駆け寄ってきた。


ルリは目を丸くし、少し心配そうにサティを見つめる。


「大丈夫……?」

サティは微笑み、力強く頷いた。


「うん。試練、終わった」


胸の奥に残る熱は、戦いを乗り越えた証。


偽りの自分に打ち勝ったことで、力だけでなく、覚悟までもが研ぎ澄まされていた。


ルリは驚き混じりに言う。


「……前より強くなったみたい。光が違う」

サティは軽く笑った。


「そうかもしれないね。でも、まだここからが本番」

空は高く澄み、遠くには次に向かうべき道が広がっている。


試練を経て得た確かな力を胸に、サティは一歩を踏み出す。


次に待つのは、未知の冒険──そして、己の成長を試すさらなる試練だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ