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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第23章 謙虚の継承者・セリーヌ編

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謙虚への試練・引き金

 雷鳴は次第に近づき、雲の底が低く垂れ込めていた。


 サティとルリは街道沿いの小さな集落に足を踏み入れる。


 雨避けを求めて集まった旅人や農民で広場はごった返していた。


「すみません、助けてください……!」


 若い男が駆け寄ってきた。泥だらけの服、肩で荒く息をしている。


 彼はサティの腕を掴み、必死に訴えた。


「隣村が……崩れた土砂で閉じ込められて……仲間がまだ中に……」


 サティは反射的にルリへ視線を送る。

 ルリはすぐに地図を広げ、険しい顔で言った。


「ここからだと半日以上はかかる。しかもこの天気……今向かえば私たちまで足止めを食らうわ」


 その言葉は正しかった。


 明日の朝には、目的地で待つ仲間との合流が控えている。


 サティは短く息を吐き、男の手を振り払った。


「……悪いけど、私たちは行けない。もっと近くの人に頼んで」


 男は絶望に顔を歪めたが、何も言わずに駆け戻っていった。


 その背中を見送りながら、胸の奥で何かがざらつく。


「……今の、本当に良かったの?」


 背後から聞こえたセリーヌの声に、サティは答えられなかった。


 次の瞬間、空が裂けるような雷光が広場を照らす。


 その光の中、サティの足元にだけ、淡い紋章のような影が浮かび上がった。


 それは───試練の始まりを告げる印。

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