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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第21章 忍耐の兆し編

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灰の修道都市へ

 数日後、サティたちは“灰の修道都市〈アシュレーン〉”の門前に立っていた。


 そこは、山岳に囲まれた静かな都市――かつて魔法と祈りの学び舎として栄え、今もなお厳格な戒律と沈黙の中に息づいている場所だった。


「空気が張りつめてる……ここ、本当に旅人が歓迎される場所なの?」

ルリが小さく首を傾げた。


「外の者を招くことは少ない。ただ、“試練”を求める者だけは別」

ミネルバが静かに答える。


「そして私は、それを受けに来た」

サティが一歩、門へと進んだ。



***


 門前に立つ修道騎士が彼女たちを見据える。


「ここは沈黙と節制の街。罪を背負う者が立ち入るには、相応の覚悟が必要だ」


 その言葉に、サティは迷いなく答える。


「私は《大罪》を会得し、《純潔》を学び、《大罪》と共に歩んできた。……だからこそ、七つの美徳がーつ《忍耐》を求めてここに来た」


「……ならば、導かれるだろう」



***


 灰色の街並みの先、静謐な鐘の音が響く大聖堂へとたどり着く。


 サティたちを迎えたのは、静かな瞳の女性だった。


「ようこそ、灰の都市へ」


 その声は凛としていながら、深い静けさと試練を思わせる重みがある。


「私はクラウディア。《忍耐》を継ぐ者です」



***


「……《忍耐》の美徳を司る者……」サティは、まるで運命のような出会いに息をのむ。


 クラウディアの手には、一冊の分厚い祈祷書と封じられた腕輪。


「あなたは“怠惰”を力として選び、進んできた。ならば、“耐え続ける意味”を知る資格がある」


「あなたに与えるのは、時間そのものを試す試練です」



***


 試練の鐘が静かに鳴り始めた──。

 沈黙の都市で、サティの“耐え”が試される。

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