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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第21章 忍耐の兆し編

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対価の在り処

 戦いを終えた後、森の奥深くでひときわ強い魔力の残滓を感じ取ったサティたちは、静かにその場を歩き出した。


「瘴気の核は消滅したけど、あの反応……おそらく、“歪んだ残響”が残ってるわ」

ミネルバの声は慎重だった。


「大罪を扱う私たちが近づくほどに、影は共鳴する」


 サティは頷き、ルリと目を合わせた。


「でも、それを無視して進むわけにはいかない」



***


 森の奥にぽっかりと空いた空間。そこには──封印されたような石碑があった。


「これは……古代の“対価の記憶”よ」ミネルバがそっと手をかざす。


「かつて、大罪の力を持つ者が美徳に出会い、贖いを求めてここで試練を受けた跡」



***


 サティは石碑に手を伸ばす。すると、ふと胸の紋章がうっすらと光った。


 ──怠惰、暴食、傲慢……

 それらの力を使うことで、確かにサティは幾多の危機を乗り越えてきた。


 だが同時に、その力には小さな代償が積み重なっていたのかもしれない。


「力を使えば使うほど、“正しさ”の軸がぶれていく感じがするの」


 呟くサティに、ミネルバが静かに言った。


「だからこそ、美徳がある。大罪の力を抑えるためじゃない。共に在るためのものよ」



***


 ルリは優しく微笑んだ。


「次は《忍耐》、だったよね。きっとどこかで、私たちを待ってる」


「ええ。そのためにも、この森を抜けて次の地へ行かなくちゃ」



***


 三人は再び歩き出した。

 大罪と美徳──そのすべてを受け入れて、前へ進むために。

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