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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第21章 忍耐の兆し編

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サティの試練

 ミネルバの寛容の試練を終えた翌日、サティは一人で遺跡のさらに奥深くへと歩みを進めていた。


「私の試練は、ここからだ」


 遺跡の壁には古代文字でこう刻まれていた。


「真実の鏡を見よ。己の内なる大罪と美徳、そして影を知れ」


 サティは深呼吸をし、ゆっくりと祭壇の前に立った。



***


 突然、目の前に大きな鏡が現れた。


 その鏡に映るのは、これまでの自分の姿だった。


 だが次第に、鏡の中の自分は様々な表情を見せる。


 憤怒、怠惰、暴食、嫉妬……そして微かな寛容や忍耐の光。



***


「私は何を恐れているのか……何を赦せないのか……」


 鏡の中の自分と対話するように、サティは自問自答を続けた。


 影が周囲に忍び寄る。


「影よ……私は逃げない」


 サティは拳を握りしめ、鏡の中の影に立ち向かう決意を示した。



***


 試練は、サティが自らの闇を受け入れ、赦すための戦いだった。


 影は容赦なく攻撃を仕掛けてくるが、サティは怠惰や暴食の囁きに惑わされずに耐え続けた。



***


 やがて鏡の中に輝く光が生まれ、影は溶けていく。


「私の力は、大罪も美徳も、すべてを受け入れることで強くなる」


 サティは胸に新たな紋章が輝くのを感じた。



***


 遺跡の外で待っていたルリとミネルバが、サティを迎え入れる。


「おかえり、サティ」ルリの優しい声。


「よく耐え抜いたわね」ミネルバが微笑む。



***


 これでサティはまた一歩、真の強さへと近づいたのだった。



***


 ヴァローナ渓谷の試練を乗り越えた後、ミネルバは静かにサティたちの前に立っていた。


「これからは、私もあなたたちと共に歩ませていただきます」


 その声には揺るぎない決意が宿っていた。


 ルリが微笑みながら答えた。


「ようこそ、仲間として」


 ミネルバは軽やかに微笑み返し、持ち歩く鎖鎌を静かに振るった。


「戦いだけでなく、旅路の守り手としても力を尽くしましょう」



***


 その後の旅路では、ミネルバの存在が大きく光った。


 敵の攻撃を巧みに受け流し、攻撃の流れを変えながらサティとルリを守る。


 また、ミネルバの冷静な判断が何度もピンチを回避させ、三人の信頼は日に日に深まっていった。



***


 ある夜、焚火の前で三人は語り合った。


「寛容とは、ただ許すことではない」

ミネルバが静かに言った。


「相手の欠点も、弱さも、そして自分の闇も抱きしめ、そこから共に歩むこと」


 サティは自分の胸に手を当て、思いを巡らせる。


「私たちはまだ、赦しきれていないものが多い」


 ルリも頷きながら言った。


「でも、こうして仲間がいれば、少しずつ前に進める」



***


 その夜空には、星が静かに輝いていた。


 彼女たちの旅はまだ続く。

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