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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第21章 忍耐の兆し編

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忍耐の証

 試練の終わりに、サティは光の中に立っていた。


 老人が微笑み、手を差し伸べる。


「よく耐え抜いた。これが、忍耐の証だ」


 サティの胸には、淡い光を放つ紋章が浮かび上がった。


「これで、あなたの力はまた一歩進む」


 サティは深く息を吸い込み、未来を見据えた。


「私の旅はまだ続く。大罪も美徳も、すべてを抱えて」



***



 ヴァローナ渓谷の奥深くで忍耐の証を得たサティとルリは、静かな森の小径を歩き続けていた。


「紋章が光ると、力が少しずつ変わっていくのを感じる」


 サティは自分の左手に浮かんだ、淡い青い紋章を見つめた。


「それはきっと、《忍耐》があなたの中で根付き始めた証よ」


 ルリは優しく微笑んだ。


 しかし、その時、不意に周囲の空気が変わった。


「……気をつけて」


 サティの言葉に、ルリも身構えた。


 木々の陰から、黒い影が静かに忍び寄ってくる。


「また“影”……?」


 二人は構えたが、影は一瞬だけ姿を見せてすぐに消えた。


「油断できないわね……」


 サティはひとつ深呼吸をして、自分の心の奥に意識を向けた。


 (怠惰が、まだ私の中にいる。だまされてはいけない)


 その時、心の中でかすかな声が聞こえた。


 《お前は弱い。待つだけで何が変わる?》


 怠惰の声が囁く。


 サティは握った拳を強くした。


「違う。私は待つだけじゃない。立ち上がることも、歩み続けることも選ぶ」


 ルリも力強くうなずいた。


「私たち、ずっと一緒だよ」


 その言葉に、サティの心は少しずつ揺るぎなくなっていった。

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