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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第21章 忍耐の兆し編

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忍耐の試練

 ヴァローナ渓谷の奥深く、空はどんよりとした灰色に覆われていた。


 サティとルリは険しい岩肌の間を慎重に進んでいる。


「この辺りから、空気が変わってきたわね」

ルリが言う。


「まるで、時間が止まっているみたい……」


「忍耐の力が残る場所だからかもしれない」

サティはそう答え、ゆっくりと前を見据えた。


 しばらく歩くと、広場に辿り着く。そこには、古びた石碑が立っていた。


 表面には擦れて読みづらくなった文字が刻まれている。


「読める?」ルリが聞く。

 サティはじっと文字を見つめ、慎重に声に出した。


「『己を捨てて、己を得よ』……意味深だわ」


 その時、背後から低い声が響いた。


「そこに立つ者よ。忍耐とは何か、知りたくはないか?」


 振り返ると、そこには老人が立っていた。


 彼は白髪交じりの長い髭をたくわえ、瞳は鋭く光っている。


「私はこの地の守護者だ。あなたが忍耐の証を求めるなら、試練を受けてもらう」


 サティは決意の表情で頷いた。


「お願いします」



***


 試練は、精神と肉体の両方を試すものだった。


 深い闇の洞窟で、サティは自分の内面と向き合う。

 《怠惰》の囁きが何度も襲いかかり、休むことを誘惑する。


 だが彼女は屈しなかった。


「私は逃げない……私の罪も、美徳も、全部抱きしめる」


 光が差し込み、洞窟の闇を切り裂いた。



***


 一方、ルリは洞窟の入口で静かに祈りを捧げていた。


「サティ、あなたならきっと乗り越えられる……」

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