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旅路編・エピローグ
「風のように、歩いてきた」
振り返れば、たくさんの景色があった。
廃墟と化した街。
見上げた星空。
手を取り合った村人たちの涙。
そして――《影》との死闘。
歩くたびに、サティの心には“問い”が増えていった。
この力は、何のためにあるのか。
自分は、何を救いたいのか。
「でも、少しだけ……わかった気がする」
夜空を見上げながら、サティは小さく微笑んだ。
大罪は、重い。
だけど、美徳がある。
破壊の先に、再生があるのなら───
「私は、それを選びたい」
その隣で、ルリも笑った。
「じゃあ、次の一歩も。あなたと一緒に」
風が吹いた。
新しい物語が、また始まろうとしていた。
***
旅路編 完です。




