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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第18章 旅路編

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忘却の門、知の都へ

 レクヴァリア。


 それは、かつて「世界の全知」が集うと呼ばれた都市だった。


 しかし今や、その名を知る者すら少なく、地図からもほとんど消えている。


「思い出した。この村、レクヴァリアへの“前門”だわ」


 サティの言葉に、ルリが目を見開く。


「レクヴァリア……それ、古い文献に出てきた都市じゃない?

 知識と記録の管理を司っていた、王立図書都市」


 サティは頷く。


「でも、その記録すら、ほとんど“塗り潰されている”。

 あたかも……誰かが、そこにたどり着けないよう仕組んでいるみたいに」


 ルリは懐から一冊のメモ帳を取り出す。


 旅の途中で記録してきたすべての地名・人物・遺跡の断片。だが───


「……ない。私の記録からも、レクヴァリアの名前が抜けてる……!」


 彼女の顔色が変わる。


「サティ、これはただの忘却じゃない。“意図された消去”よ。

 私たちの記憶や記録にすら影響を及ぼしてる」


 サティは静かに目を閉じた。


 《大罪》の一つ、《怠惰》――記録を綴る意志を奪い、知識を鈍らせ、思考を鈍化させる力。


 その影が、この村、そしてレクヴァリア全体に滲み始めているのかもしれない。


「だから、“勤勉”が必要なんだ」


 サティの中に、微かに光が差した。


 知を諦めない力。

 繰り返し学び、紐解き、忘却に抗う強さ。


 それが、次に彼女が手にするべき《美徳》。


「レクヴァリアへ行くわ。……私が失いかけた“知識”を、取り戻すために」


 ルリがしっかりと頷いた。


「じゃあ、行こう。――真実の書庫へ」


 影が知識を奪うのなら、美徳がそれを書き記す。


 これは、忘却に抗う者たちの物語。


 次なる舞台は、

 “知の都レクヴァリア”──《勤勉》の章、開幕。

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