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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第18章 旅路編

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ステラグラフへの道、封じられた地図

 翌朝。


 ルメリアの宿舎で荷物をまとめ終えたサティたちは、ギルド本部に向かっていた。


 アゼルが言った「星の墜ちた街・ステラグラフ」は、公式の地図には載っていない。


 しかし、ギルドの禁書保管室には──**それを指し示す“失われた地図”**があるらしい。


「アゼル、本当にそこに“地図”があるの?」


「あるわ。でも、“閲覧許可”が必要よ。普通の冒険者じゃ入れない」


 アゼルは淡々と言うが、サティたちはすでに“核事件”の件で本部から高く評価されていた。


「私たちの功績を使わせてもらうわ。……こういう時のために、ね」



***


 ギルド本部の最上階、許可制の禁書保管室。


 案内されたのは、重厚な扉で守られた小さな書庫だった。


 サティが提示した証書により、部屋の奥から一冊の古い写本が運び出される。


「これが……」


 分厚い皮革に綴じられたその書物は、魔力を遮断する封印術式で保護されていた。


 アゼルが手のひらをかざすと、淡い光が浮かび上がり──

 封印が、音もなく解かれる。


「やっぱり、あなたには“鍵”としての資質がある」


「鍵……?」


 アゼルは微笑んだ。


「あなたの“銀の瞳”は、封じられた知識を開く鍵。

 ステラグラフの遺産に触れるには、それが必要なの」



***


 中を開くと、そこには古代文字で綴られた旅路と、魔法紋が刻まれた地図があった。


 地図の中心には、こう記されていた。


> ──《ステラグラフ:星落の地》。

霧の峰を越え、風鳴きの峡谷を抜けた先、

白砂の谷に沈みし、星の骸。




「白砂の谷……ルメリアの東方、国境を越えた未踏領域じゃない?」


 レオが顔をしかめる。


「あの辺りは“魔法反応の異常地帯”って呼ばれてる。

 磁場が狂ってて、方位も狂う。冒険者の遭難が相次いだ場所だ」


 サティは迷わなかった。


「けれど、行くしかない。ステラグラフは、その先にある」



***


 地図の写しを得たあと、ギルドから出たサティたちは広場で足を止めた。


 空は快晴。風が東から吹いている。


 旅の始まりにふさわしい空だった。


「よし、準備はいい?」


 ルリが背中の剣を軽くたたく。


「当然。久しぶりのガチ探索だもん」


 ミカが笑みを浮かべ、レオが苦笑しながら続ける。


「今度こそ、平穏な道中でありますように……」


「フラグ立てないの」


 サティが小さく笑った。


 隣に立つアゼルが、不意にサティの袖を引く。


「……ありがとう。連れてってくれて」


「いいのよ。あなたがいたから、私は“次”に進めた」



***


 その時、背後でひとりの男が呟いた。


「──銀の瞳が動き出したか」


 通行人に紛れて立つ男の右手には、同じ紋章のペンダント。


 アゼルのものと、まるで対になるような“黒の紋章”。


「ステラグラフの扉が開けば、“眠り”も終わる。

 さあ、踊れよ、銀の娘。

真実に辿り着く前に──試練を」


 男の姿は、群衆に紛れて消えた。

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