影の牙、目覚める刻
黒い霧がうねりながら四人に迫る。
影たちは不気味に囁き、体の輪郭を揺らしながら襲いかかってきた。
「ルリ、後ろ!」
サティの声に反応し、ルリが素早く身を翻して剣を振るう。
影は刃をすり抜け、身体を分散させて再び集まった。
「やつら、普通の攻撃が効きにくい……!」
ミカは短剣を投げつけ、レオは魔法陣を描きながら呪文を唱える。
「魔力を集中させるんだ、これが唯一の突破口だ!」
サティも自身のスキルを解放し、風の刃を纏いながら影に斬りかかる。
「影はただの物理存在じゃない。魔力の塊、虚無の化身よ!」
闘いの中、ミカの目に一瞬、かつての恐怖と決意が浮かんだ。
「……失ったものを、取り戻すために」
レオは仲間を守るため、魔術で防御結界を張り、攻撃の手を休めない。
激しい戦いの最中、サティはふと気づく。
影たちが徐々にこちらの動きを学習し、戦術を変えてきている。
「油断できないわ……“影”は進化している」
ルリも苦戦しつつも、冷静に対応し始める。
「皆、連携を崩さないで!」
激闘の果てに、四人の力が一つに重なり、霧の影は散り消えた。
しかし、サティの心は重かった。
この戦いは終わりではなく、新たな始まりだと感じていた。




