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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第18章 旅路編

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霧深き封印の村

 山を越え、谷を下る道の先に、霧に包まれた小さな村があった。


 村の名は――“アルケア”。


 地元の伝承では、かつて強大な魔術師によって“影の核”を封じた場所だと言われている。


 だが、長年の隔絶により、外界とはほとんど交流が途絶えていた。


 サティたちは村の入口に差し掛かり、緊張の面持ちでその霧に足を踏み入れる。


「空気が……重い」


 ルリが呟き、サティも同意する。


「ただの霧じゃないわね。魔力が混ざってる」


 レオは慎重に杖を握りしめ、視線を周囲に巡らせる。


「……これが“封印の霧”か。俺たちが追っている“影”の痕跡の一端だろう」


 ミカも無言で頷き、足元の草むらを注意深く見つめていた。


 村の中央には古びた祭壇があり、その周囲に異様な黒い紋様が刻まれていた。

 

サティは息を呑む。


「これが封印術の残滓……でも、どこか歪んでいる。何かが崩れかけている」


 そのとき、村の奥から、低く響く呻き声が聞こえた。


「誰かいるの?」


 ルリが声を張るが、返事はなかった。代わりに、背後から冷たい風が吹き抜けた。


「気をつけて」


 サティの声に、四人は自然と背を合わせる。


 突然、黒い霧が村の中から立ち上り、まるで意思を持つかのようにゆらゆらと動き出した。


 霧の中から、歪んだ“影”が幾つも姿を現す。


 人の形をしているが、どれもぼやけていて、その存在は異形そのものだった。


「来たわよ」


 サティが杖を構え、ルリもすぐに剣を抜く。レオが魔法陣を描き、ミカは鋭く獲物を狙うように目を光らせた。


「これが……“影”の正体の一端かもしれない」


 四人の決意が、霧深い村を震わせた。

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