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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第2章 ダンジョン攻略編

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暗躍

「ここのご飯、美味しいですね!」


そう言って、ルリは目を輝かせながら肉を口に運んだ。


「でしょ?この店、前から気になってたの」


サティ・フライデーは微笑んで、彼女の反応を嬉しそうに眺めた。ギルドの受付業務で忙しい日々のなか、こうして後輩と食事を楽しめる時間は貴重だ。


「ホントに……!先輩、また一緒に来たいです」


「もちろん。誘ったのは私だし、気にしないで」


やがて食事を終え、サティは伝票を手に立ち上がる。


「お会計、私が払うから。ルリは先に外で待ってて」


「え、いいんですか?……ありがとうございます!先に出てますね!」


ルリが元気よく頭を下げて店を出る。サティは彼女の背を見送りながら、ふっと優しい笑みを浮かべた。


会計を済ませたサティが外に出ると、ルリが街灯の下で待っていた。


「ご馳走様でした、先輩!」


「ふふ、どういたしまして。今日は楽しかったわ」


別れ際に一人で帰れるかを確認すると、ルリの家はすぐ近くだという。気をつけて帰るように声をかけて、サティは一人、夜の通りを歩き出した。


繁華街の喧騒が遠ざかり、静かな小道に入った頃だった。


「サティ・フライデーか?」


背後から低く、冷たい声が響いた。


「そうだけど……あなたは誰?」


振り返ると、そこには仮面をつけた人物が立っていた。黒いローブに身を包み、その姿はまるで芝居じみていたが、空気は真剣だった。


「私は、あるお方の使者だ」


「使者……?」


「お前に書状を届けに来た」


男は封をされた古びた紙を差し出した。サティがそれを受け取ると、彼は一歩、闇へと下がりながら告げる。


「明日の昼、その手紙に記された場所へ一人で来い」


「わかりました……けど、誰の使者なの?」


だが、返答はなかった。男はそのまま、闇のなかに消えた。


サティは手紙を見つめながら、胸の奥に小さな不安と興味を抱いた。



* * *


その頃、別の場所——


「サティ・フライデーに、書状を届けてまいりました」


仮面の男がひざまずき、報告する。


「ご苦労だった」


部屋の奥で、椅子に腰掛ける老人がゆったりとした声で答えた。重厚なマントを羽織り、皺だらけの手には一本の銀の杖が握られている。


「なぜ、あのような娘に?」


「……サティ・フライデー。あの女には価値がある。だからこそ、私自らが選んだのだ」


「明日、私も同行いたしましょうか?」


「もちろんだ。お前にも見届けてもらう」


そして、老人は書状の写しを手に取り、うっすらと笑みを浮かべる。


「サティ・フライデー……あなたのことは、骨の髄まで調べさせていただきますよ。私の“目的”のためにね」


まるでこの出会いが、すべて計画されていたかのように。


老人の目には、薄暗い野望の光が宿っていた。

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