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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第18章 旅路編

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旅人たちは、小さな歪みに出会う

「……あれが、マルナの村かな」


日が西に傾きかけたころ、ふたりの前に小さな集落が見えてきた。


サティは地図を確認し、うなずいた。


「このあたりでは一番大きな村みたい。宿もあるし、明日の準備もしやすいはず」


「でも……なんか、静かじゃない?」


ルリがぽつりとつぶやく。確かに、近くまで来ても人の声が聞こえない。畑は手入れされている様子なのに、誰の姿も見えないのだ。


「警戒しておいた方がいいかもね」


そう言って、サティはゆっくりと村の中へと歩みを進める。ルリも背後を警戒しながらついていく。


──それは、まるで無人の村だった。


軒先には洗濯物が干され、井戸には桶が置かれていた。生活の気配はあるのに、人の気配がない。まるで一瞬で誰かが“消えた”かのような、異様な空気。


「……ここ、おかしい」


ルリが低く言ったそのとき。


「……た、助けて……」


かすれた声が、どこかの家の扉の向こうから漏れた。


サティとルリは目を見合わせると、無言で頷き、すぐに扉の前に立つ。


「開けますよ」


そう声をかけ、サティが静かに扉を押すと――中には、震える老女と、倒れた若い男がいた。


「この村に……“影”が出るんです……」


老女の声は、恐怖と後悔にまみれていた。


「影……?」


サティが繰り返したその言葉は、やがてふたりの旅路に大きな意味を持つことになる。


だが、そのときのサティたちは、まだ知らなかった。


それが、旅のはじまりであり、新たな戦いの“兆し”であることを。

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