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手を取り合って、外の世界へ
> 「ねえ、サティ先輩」
「ん?」
「公国に着いたらまず何するか決めてるんですか?」
サティは少しだけ考えてから、肩をすくめて笑う。
「祭りにも参加するけど……まずは、宿を探して。次に、美味しいもの食べて。あとは……ルリに足引っ張られないように頑張る」
「えっ!? 私、先輩の旅のお荷物じゃありませんからね!」
「冗談よ。ちゃんと頼りにしてるわ。……後輩としても、相棒としても」
ルリは驚いたように目を見開いたあと、ほんの少しだけ照れくさそうに笑った。
「……はい。先輩の期待に応えます」
二人は並んで歩き出す。
どこまでも続く街道。どこへでも続いていける空の下。
もう受付嬢と新人冒険者だった日々じゃない。
これは、彼女たちの“ふたりで進む物語”のはじまり。
「行こう、ルリ」
「はい、サティ先輩」
陽光の中、二人の旅が、静かに始まった。




