表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第14章 古代遺跡編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/264

闇を裂く刃、揺らぐ魂

石壁を抜け、遺跡の深部へ進む私たちの前に、不意に冷たい風が吹き抜けた。


風は“声”を運び、地底の闇を揺らす。


「気をつけて……!」

フィーネの声が、警告の鐘のように響く。


次の瞬間、闇の中から禍々しい影が飛び出した。


それは腐敗した獣のような魔物。身体は異形の粘膜に覆われ、爪は鋭く、瞳は赤く光っている。


「来たわね……!」


私は杖を握りしめ、一歩前へ。


ルリもすぐ隣で剣を抜いたが、その手が微かに震えている。


「皆、構えて!」

調査班も武器を構え、咄嗟の緊張が走る。


魔物は、凄まじい勢いで飛び掛かってきた。


私は風の魔術を瞬時に展開し、刃のような風の刃を作り出す。


「切り裂け!」

空気を切り裂く音とともに、風の刃が魔物の腕を斬り裂く。


だが、魔物は激しい悲鳴を上げると同時に、身体の一部が異様に変形し、より巨大で獰猛な姿へと変わっていった。


「強化されてる……!」


ルリの声が震える。だが、彼女の瞳はいつしか、戦慄の影を帯びていた。


「大丈夫? ルリ!」


私は声をかけたが、彼女は答えず、深く息を吸い込んだ。


その瞬間、ルリの体から微かな青白い光が漏れ始める。


「な……何?」


「これ……私じゃない……!」


ルリの身体を包む光が強くなり、剣が震え、瞳の色が淡い紫へと変化していく。


その異変は急速に進み、彼女の周囲の魔力場も不安定になった。


「ルリ、落ち着いて!」


だが彼女は自分の意思とは裏腹に、体が勝手に動くように見えた。


魔物に向かって飛び込み、呪文の詠唱を始めるが、言葉が断片的で、どこか古代の言語のようだった。


「――封、印、開、か……」


「そんな呪文、教えてないはず……!」


私は動揺しながらも、ルリの異変を見逃さず、急いで彼女を支えた。


その時、魔物が再び襲いかかろうとしたが、ルリの放った魔術の光が爆発し、闇を裂いた。


「……ふぅ」


戦闘は終わったが、私はルリの目を見て、問いかけた。


「一体、何が起きているの?」


彼女は苦しげに首を振り、やっと言葉を絞り出す。


「わからない……でも、この遺跡と、私……何か繋がってる」


その声には、恐怖と困惑が混じっていた。

確実に、彼女の中で何かが目覚め始めている―。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ