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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第14章 古代遺跡編

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遺跡調査前日

ユーリシアと再会してから数日が経ち、ルメリアの街にも少しずつ、いつもの日常が戻りつつあった。


だが、私の胸の奥には、静かに“ざわめき”のようなものが残っていた。


「……やっぱり、何かが動いてる」


私はギルドの執務室で、一通の報告書に目を通していた。


それは近隣の山岳地帯に位置する古代の遺跡――通称《灰の深層》で、魔物の活動が不自然に増加しているという内容だった。


「最近あのあたり、妙に気温が下がってるんですって」


ルリが書類を持って入ってくる。彼女はギルドの受付嬢であり、私の信頼できる仲間でもある。


「植物の成長も止まってて、しかも夜になると魔力が“逆流する”感覚があるとか。普通じゃないよね」


「ええ、魔物の出現だけなら、対応部隊に任せられる。でも……これは“遺跡”のほうが本命かもしれないわ」


実は数日前、王都からも“灰の深層に注意せよ”という通達が届いていた。


遺跡の中には、まだ王国にも記録されていない魔術構造体が残されている可能性があるという。


「サティさんが行くの?」


「ええ。私自身、気になるの。……ユーリシアと再会してから、ずっと変な風を感じるのよ。

それに――もしかしたら、“歴史の底”に繋がるものが見つかるかもしれない」


その夜、私は書庫にこもり、かつての遺跡記録と、封印魔法に関する古文書を読み返していた。

中には、“太陽を封じた女王”と名乗る人物が、自らを楔にしたという伝承もあった。


「もしこれが本当なら……遺跡はただの遺産なんかじゃない。まだ“動いてる”のかも」


私は筆を止め、ページを閉じた。


「ギルドの受付嬢である以上、ただ守るだけじゃなくて、“知らなければならない”こともあるわ」



***


―翌朝:出発の刻―


「装備、魔道具、結界札、食糧もよし……」


朝日が昇る頃、私は冒険者たちと合流し、遺跡へ向けて出発した。


ルリ、ルア、フィーネの3人が同行する。全員この任務の重大さを理解している顔をしていた。


「それじゃ、行きましょう。灰の深層へ。

……風が変わる、その前に」


カツン、と杖の先が石畳を叩く音が、静かに鳴り響いた。


まだ誰も知らない。これから“再会”の意味が、もう一つ上書きされることになるとは――

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