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04レストランへ

別に自分が元は悪魔でカスクの知っている女と隠す意図はなかった。


だが、カスクとの人生の交差は既に終わっており、ただ一人の人間だからといって気にかける程、興味もないので気にしない。


ただ自分の心臓の欠片の気配を感じてその男がカスクと知ったのは二人きりで尋問された時だった。


単純に悪魔だった時の体の一部を持たれているのは気持ち悪いので捨ててほしいという感情を伝えたに過ぎない。


人間には執着というものがあることを知ってはいるが己はないのでどうでもいいのだ。


でもって、さっきから聖騎士の視線がこちらを向いて離れない。


それもどうでも良いことだと城へと通される。


被害者としての事情聴取が行われるらしい。


全く見たことのない男達に囲まれ長い時間拘束されるというものが気にくわなかった。


格下の癖にこの悪魔を苛立たせるのはほんに我慢ならない。


たくさん聞かれてその都度短く答える。


村の名前を聞かれて教えてもらえず知らないと言っておく。


後々報復するからに決まっている。


「ご協力ありがとうございました」


男達が歯を無くした可哀想な事件は、男達が心神喪失だとかで捜査は難航していると聞いた。


ああ、おいたわしや。


そして、ざまあみろ。


お城の外へ出ると何故か成長した聖騎士に待ち伏せされていたがスルーして下町へ向かう。


騎士達が手配した宿で着替えねばならない。


放逐されたままの服装だったから結構汚れている。


さっきから足音が後ろを付いてきていて撒いた。


初めて来たわけでもないからするすると通れる。


名前を呼ばれたがその名前は間違っている。


村の死んだ親に付けられた名前は清らかな天使という意味の名前で、体が拒否反応したので悪魔の時の名前をこれからは使うことにした。


こちらが天使だとして村人達は肥溜めな人格者達故に名前もぽっくりいったのだろう。


「あ、レストラン」


レストランの前に募集の文字。


力仕事なら得意なので宿へ行ったら早速応募しよう。



という経緯で、働くリンテイを見つけようと血眼になっているカスクがそこは居た。


焦るあまり、周りの怯えも加速していることを知らない。


そして、持てる人脈を使うことを決める。


「ジョイ、ラグナ」


悪魔が縄張りにしていたころの村に居た子供のうちの二人が佇んでいた。


ここ数日のカスクの様子が可笑しかった事をしてき出来ずにいたが、漸くなにかを教えてもらえることに二人はドキドキしていた。


しかし、カスクの口から出てきたことは到底信じられぬことでよもや耄碌してしまったかと思ってしまうのも致し方ない。


それはそう、八年以上も前に目前で絶命した悪魔の名前を言い、今は人間になって生きていると言いきってしまったのだ。


頭の医者を頭に浮かべてしまう。


「おれの言うことが信じられねぇと?」


ドスのきいた声にぱっぱと頭から怒らせるものを消した。




一方、レストランへ直行した少女。


レストランに応募して面接とやらをすると即採用された。


人材不足が深刻らしい。


人前に出る方は控えたいと言うとそれで構わないと言われた。

このレストランは大丈夫か?と不安が残る。


良く辞めるということに他ならない。


なにかしらの原因があるから、この王都で人材不足など起こるのだとしか考えられなかった。


まず、初日から手を抜きつつ見ているとこれといって問題はないので、杞憂かと見直した。


たまに変なものを出すこと以外。


新作メニューといって微妙なものを出すのは、変わっているなと首を傾げたものだ。


裏方に一貫していて、表に出る人間達とも交友を深めることもせずにただ、言われた通りにゴミ出しや皿洗いをし続けた。


今日のゴミは少ないなと、閉店後のゴミ出しを始める。


簡単な作業なので袋を持ち上げて、業者が持ち去ってくれる場所まで少し歩く。


表の人達は今日も、お酒を飲んで盛り上がるのだろう。


わいわいと聞こえる酒場の歓声を聞いていると、頭上の街灯がほわんと光る。


雪でも降れば幻想的になるだろう。

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