表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/318

王城にて


魔獣討伐で命を落とした騎士様達の国葬

が行われた。

雪が静かに降る日だった。

私も参列させてもらいキルア様に白いバラを

捧げる。横たわっているご遺体は眠っている

ように見えた。


『よう!ディア姫!』


って笑いながら言ってくれるような気がする。

私はグッと泣くのを堪えた。

仇は私が絶対に取ってやる。心に誓う。


国葬が終わって私は王城へと入った。

そう、あの話を皇帝陛下へする為に。


皇帝陛下の準備が整うまで貴賓室で待機

になった。

緊張す……る。

国のツートップである皇帝陛下に会うのは

初めてだし。

ツートップの1人ユーリ様は身内だからなのか

あの性格だからなのか全然緊張しないけど。

今回は違う。

ド緊張だ。


隣に座っていたレオンお父様がそっと私の

手を握った。


「大丈夫だからな。私が居るしルイも来る」


私は壊れた玩具の様に顔を縦に振り続けた。

最初に部屋へ来たのはアダン殿下だった。

ルイお兄様ともう1人の側近『ブロン』の

ミエル様を連れていた。


ミエル様には私の記憶がない頃に数回お会い

しているらしい。

はい。いつもの如くしっかりと記憶にござい

ません。なので本日、お初にお目にかかり

ます状態ですな。


ミエル様は19歳でアダン殿下と同い年だ。

肩で綺麗に揃えられた黒い髪がサラサラと

揺れる。いわゆる『おかっぱ』頭だ。

あっ、『ボブ』カットだった。少し気が緩むと

おばちゃんが出て来て困っちゃう。


ミエル様、髪の毛ツヤッツヤで天使の輪

が出とる。シャンプー何使ってるの?

顔立ちも中性的で綺麗な琥珀色の瞳だ。

可愛い雰囲気なのだがルイお兄様に言わせる

と何を考えているのか分からないところが

あって油断出来ないらしい。

そうかなぁ〜。見た目は優しそうなお兄さん

って感じだけど。


そんな事でアダン殿下は勿論のことミエル様

も私の中では初めましてなので椅子から立ち上

がり挨拶をと思ったら突然アダン殿下が抱き

ついてきた。


な、な、なぬぅぅぅーーー!?

え?王室ってこーゆー挨拶なの?そうなのかい?

戸惑っているとぎゅーとされる。

え?え?


周りも突然の事に驚いて動きが止まっている

ようだ。

って事はこの挨拶の仕方は変なんだよね?

……おい。こら。離れろ。

初対面で体を触ってくるなんて王子でも許され

んだろうがぁぁぁ!


あ……。私の後ろに居るレオンお父様から殺気

が感じられるんですが。

駄目ですよ。殺しては……。

この方は王位継承権第一位の人間ですからね。


「アダン殿下、離れて下さい。アダン殿下?

聞こえていますか?……離れろ」


良かった!レオンお父様の鉄拳が飛ぶ前に

ルイお兄様が止めてくれた!でも最後の言葉は

怒られないの?大丈夫かい?


「あぁぁ!すまなかった!クラウディア嬢が昔の

知り合いにとても似ていたので思わず……。

失礼をお詫びする」


アダン殿下は私を離し頭を下げた。


「いえ、驚きましたけど大丈夫ですわ。顔を

お上げ下さいませ。私に頭を下げるなど……

もったいない事でございます」


私もオロオロしちゃった。


「ルイの大事な妹君なのにすまなかったね。

久しぶりにルイに怒られてしまったよ」


はははと笑いながらルイお兄様を見る。

ルイお兄様は私を後ろにしてアダン殿下から

見えないようにしてくれている。


ルイお兄様の陰からアダン殿下を観察。

ふわぁ〜。イケメンで赤い髪の毛が印象的。

タレ目が可愛いな〜。身長高い。

確か19歳だったよね?

もっと大人に見える。いい感じの色気を

纏っててうっとりする。


ん?そして懐かしい……。何?この感じは……。

会うのは今日が初めてのはずなのに。

なんか私、顔がポヤポヤ熱くなってるのは気の

せい?


「皇帝陛下が参ります」


その声で一同が緊張した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ