親族会議③
「この話は皇帝側にも話さないといけない。
話を聞いてディアの姿を見たら十中八九
ポレット様の生まれ変わりであるだろうと
言うだろうね」
「向こうもアーサー王の予言書があるからか?」
レオンお父様が思い出したように言う。
あちらにも予言書あるんだ……。
聖女様とアーサー王が予言合戦してたみたい
になっとる。
「そうだ。お互いに予言書の内容は漏らし
てはいけない為あちらには何が書いてあるかは
分からないがポレット様の外見ついてはほぼ
同じ事が書かれていると思うぞ。そうなると
ディアは俺が言った理由と同じ理由で生まれ変
りに認定されるだろう。が、一番の証拠となる
魔力が覚醒していないから様子見ということに
なりそうだがな。しかし皇帝側はディアを保護
すると言い出すぞ。アイツならディアを王城に
閉じ込めそうだな……悪魔から守る為とか
言って」
アイツって皇帝陛下の事?
そう言えばレオンお父様とユーリ様と皇帝陛下は
幼馴染だったな。レオンお父様だけ年下だけど。
「悪魔から守る為が理由でディアを王城に行かせ
るのならばヴィンセット家がディアをこのまま
守ればいいではないか」
「レオン、お前は事の重要性を分かっていない。
ポレット様は女神様なのだぞ?ポレット様が悪魔
の手に堕ちてみろ。この国は滅びる。そんな大切な
ポレット様の生まれ変わりを国としては一般の
ノアールに預けられるかってなるのが普通だ。
かつて一緒に戦った聖女様の子孫かアーサー王の
子孫かが責任を持って保護する流れになるんだよ」
うむむ。なるほどね。
「ディアは来年学校に行きたいって言ってたよね?
王城に閉じ込められたら絶対に行かせてもらえない
だろうな〜。全然外にも出してもらえないだろうし
レオン達とも殆ど会わせてもらえないだろうな……
あ、アイツのことだレオンだけなら会わせてもらえ
るかもしれんが」
ユーリ様が困り顔で私を見る。
ヴィンセット家の皆んなも青くなる。
えー!学校!やっとレオンお父様からOKが出
たのに!
「そ、それは嫌ですわ!学校には行きたいです!
アオハルしたいのです!家族とも会えなくなる
のも嫌ですわ!」
「んんん?アオハル?それは分からんが俺が
ディアを保護したら神殿経営の魔力学園に行か
せてあげれるしヴィンセット家の皆んなと
いつでも会えるように手配できるんだけど
ねぇ〜。神殿の魔力学園は来月からノアくん
が編入するだろう?ディアが行く事になっても
ノアくんが一緒なら安心じゃないか?」
ユーリ様がちらっとノアを見た。
「は、はい!姉様!来年から一緒です!
嬉しいですね!僕、命かけて姉様を守ります!」
今までハラハラドキドキ話を聞いていたノアが
嬉しそうに叫んだ。
おーい。もう来年からは一緒の学園ってなっちゃっ
てるよ。まーだだよ。
そう、ノアは聖騎士になる為に今の学校を辞めて
神殿経営の魔力学園に編入が決まっているのだ。
しかし何度も言うが君は稀有な存在なのだよ。
簡単に命をかけてはいけない。
「そうか。皇帝側がディアの保護を主張するなら
神殿側もできるという事か」
レオンお父様の表情が明るくなった。
「でも、ほらアイツ強情だから俺の言う事なん
ぞ聞かないからな〜。レオンが助けてくれるな
ら勝てるかもな。アイツお前にメロメロ
だろう?」
レオンお父様が右手で顔を覆う。
ん?メロメロとは?皇帝陛下きちんと奥様いらっ
しゃいますよね?息子さんもいらっしゃる。
「あ〜ディア。違うぞ。違う。幼馴染や
弟と接する感じで私に優しいという意味だ」
あ、ユーリ様と同じだね。
ユーリ様と皇帝陛下はレオンお父様を取り合って
いるわけか。はいはい。了解です。
「神殿側がディアを保護するとなったら神殿では
なく俺の屋敷に来るといい。悪いけど警護の人数
が多くて鬱陶しいと思うがある程度の自由は約束
する。そしてエドくんは連れて来ていいよ」
「え!?何故エドを?」
ルイお兄様が叫んだ。
「うーん。なんか信頼できる従僕くんだから?」
ユーリ様……。アンタってなんて良い奴なんだよ!
アレだよね?ユーリ様以外に私が異世界人だって
知ってる唯一の人だからだよね?
私が少しでも安心してそちらにお世話になれる
ように。くぅ〜。ありがとよ!
「ならば私も!私はお嬢様が小さな頃から……」
メアリーが熱く語り出す。
「あ、メイドさんはこちらにも沢山いるから
遠慮して」
あ、ズバッと切ったね。
メアリーしょんぼりさんになってる。
ごめん!メアリー!もしもの場合エドと
離ればなれになちゃう。
「ま、そんな事でローズ殿いつでも我が家に来て
くれてもいいからね?妻も喜ぶよ」
「ありがとうございます」
ローズお母様がホッとしてるけどコレ本決まり
じゃないし。皇帝陛下もそう簡単には譲らない
ような気がするけど……。
分からんけど。