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Side キルア・モーデ


俺は『グリ』の貴族だ。貴族と言っても

『ノワール』や『ブロン』の貴族達に比べる

と下っ端の下っ端。ま、俺にとってそんな事

はどーでもいい。


一応モーデ家の長男だから家を継げと言われて

いるが俺は剣を振るっている方が性に合ってい

る。だから小さい頃から家は弟が継げばいいと

思っていた。絶対に弟のジェフの方が上手く

やれる。


モーデ家は『グリ』の中でもトップクラスの

貴族だ。剣術を習うのも有り難い事に

『ノワール』や『ブロン』達の息子が通う

騎士学校に行かせてもらえた。

レベルが高く面白いぐらいに上達するのが

分かった。その騎士学校に一つ年下のルイ

という少年がいた。


話してみると『ノワール』ヴィンセット家の

長男だと言う。キングオブぼんぼんじゃねーか。

俺とは合わないだろうと思っていたが話して

みると意外とウマがあった。

それからは一緒に競いながら2人で力を付けて

いった。そんな時だ。

ルイの父親のレオン様に声をかけられたのは。


「君は魔力も剣術も才能があるな。どうだ?

もっと強くなりたくないか?」


有り難いお誘いだった。

いくらトップクラスの『グリ』でも通える

騎士学校はここまでなのだ。これ以上、

上を目指すのなら即実践になる。民間の

魔獣討伐隊に入り討伐に参加する事になる

のだが俺の様なまだ小さな子供は直ぐに

死んでしまうらしい。

そんな危険を回避出来る。

そしてもっと強くなりたい。

俺はその場でレオン様に頷いていた。


家に帰って直ぐに俺は父親に言った。


「ジェフにモーデ家を継いでもらいたい」


父親はレオン様に声をかけられた事を喜んで

いてお前の好きなようにするといいと言って

くれた。ジェフも僕が継ぐと言って笑った。


それからは俺はルイと一緒に皇帝所属の魔力学校

に通わせてもらい剣の腕も鍛えた。ルイは頭も

良く魔力も剣術も人より頭10個ぐらい飛び抜け

ていた。12歳になる頃にはもうアダン殿下の

側近見習いとなっていた。アイツは化け物だな。


そんな化け物ルイも惚れた女には弱い。

クラウディアという妹だ。最初は極度の

シスコンだと思っていたが本当は従姉妹なの

だと言われた時に本気で惚れてるなと確信

した。こんな完璧で王子の様なルイが惚れ抜い

いる女に興味が湧いた。


ある日ルイに呼ばれて屋敷に行った時だ。

まだ王城から帰って来ていないと言われ

待たされた。暇だったからその辺の庭でも

ウロウロしようと廊下を歩いていたら

ドアが開いている部屋があった。


その日は暑かったから風通しをよくする

為に開けたのだろう。

何気なく中を覗くと小さな女の子が2人の

使用人にお茶の準備をさせていた。

テーブルには沢山のお菓子が用意されて

紅茶の良い香りがしていた。


メイドの子が俺に気が付いた。


「キルア様でいらっしゃいますね?本日

はルイ様とお約束でございますか?」


にこやかだが確実にドアを塞ぎ中を見えない

様にしているのが分かる。


「ああ。そうなんだ。でもまだルイが

帰って来てなくて。この部屋の主はルイ

の妹君かな?挨拶させてもらっても?」


俺は隠そうとするメイドに少し意地悪を

した。どうせ断られるのだろうと思って

いたら中から鈴の様な可愛い声がした。


「メアリー?ルイお兄様のお知り合い?

お部屋に入っていただいて」


メイドは俺を中へ通した。従僕の鋭い視線が

突き刺さる。害はないと思ったのか礼をして

紅茶を淹れ始めた。


座っている女の子を見た。

これを人は一目惚れと言うのだろう。

目が離せなかった。ずっと見ていたいとさえ

思う。人としての次元が違う。

コレはもう神の領域なのではないだろうか?

なるほどルイが溺愛するのが分かる。


「初めまして。クラウディア・ヴィンセット

です」


俺はその可愛い声で我に返った。

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